【ITパスポート練習問題 6.3対応】(1) 同時実行制御（排他制御）

【解説】

正解: 2 一連の処理が全て成功するか全て失敗する

この問題は、データベースにおける「トランザクション処理」の最も基本的な概念である「原子性（Atomicity）」を理解しているかを確認するものです。

正解は「一連の処理が全て成功するか全て失敗する」です。トランザクションとは、銀行の振込処理（出金と入金）のように、分けることのできない一連の処理単位のことです。これらの処理は、「すべて完了して確定する（コミット）」か、途中で何か問題があれば「すべて取り消して元の状態に戻す（ロールバック）」かのどちらかになる必要があり、中途半端な状態は許されません。

選択肢1の「データ処理の一部だけが反映される」は、データの矛盾（不整合）を引き起こす原因となるため、トランザクションの特性として最も避けるべき状態です。選択肢3の「処理が完了しても元の状態に戻すことはできない」は誤りです。トランザクションが完了（コミット）する前であれば、変更を取り消して元の状態に戻すことができます。

【解説】

正解: 3 全ての変更が取り消される

この問題は、トランザクション処理中にエラーが発生した場合の正しい挙動、すなわち「ロールバック」の仕組みを理解しているかを問うものです。

正解は「全ての変更が取り消される」です。トランザクションの途中でシステム障害やエラーが発生した場合、データの整合性を守るために、そのトランザクション内で実行された更新処理はすべて無効化され、処理開始前の状態に戻されます。これをロールバックと呼びます。

選択肢1の「処理はそのまま継続される」や、選択肢2の「一部の変更は反映されるが、残りは中断される」といった挙動は、データに矛盾が生じる原因となるため、トランザクション管理として不適切です。

【解説】

正解: 1 トランザクション間でのデータの整合性が損なわれる可能性がある

この問題は、データベースを複数のユーザーやプログラムが同時に利用する際に発生する問題と、それを防ぐ「排他制御」の必要性を理解しているかを確認するものです。

正解は「トランザクション間でのデータの整合性が損なわれる可能性がある」です。例えば、同じ座席を同時に2人が予約しようとした場合、適切な制御を行わないと、後から書き込んだデータで上書きされたり、矛盾したデータが生まれたりする恐れがあります。

選択肢2の「各トランザクションは全く影響を与えずに実行される」は、理想的な状態（独立性）ですが、何もしなければ影響を与えてしまうのが課題です。選択肢3の「トランザクションの順序に依存しない結果が常に得られる」も、制御なしでは保証されません。

【解説】

正解: 3 永続性

この問題は、トランザクション処理に求められる4つの特性「ACID特性」のうち、「永続性（Durability）」の定義を理解しているかを問うものです。

正解は「永続性」です。これは、ひとたびトランザクションが正常に完了（コミット）すれば、その後にシステム障害や停電が発生しても、更新されたデータは失われずに保存され続けるという特性です。

選択肢1の「原子性」は、処理が「すべて実行されるか、全く実行されないか」のどちらかになる特性です。選択肢2の「一貫性」は、データの整合性が常に保たれている（矛盾が生じない）特性です。

【解説】

正解: 2 原子性

この問題は、ACID特性の一つである「原子性（Atomicity）」の意味を正しく理解しているかを確認するものです。

正解は「原子性」です。これはトランザクションが一つの不可分な単位（アトム）として扱われ、中途半端に分割されて実行されることがないことを保証する特性です。「All or Nothing（全か無か）」の原則とも呼ばれます。

選択肢1の「独立性」は、同時実行されるトランザクション同士が干渉しない特性です。選択肢3の「一貫性」は、あらかじめ決められたルール（整合性制約など）に違反するデータが存在しないようにする特性です。

【解説】

正解: 2 独立性

この問題は、ACID特性の中で、複数の処理を同時に行った場合の安全性に関する「独立性（Isolation）」を理解しているかを問うものです。「隔離性」とも呼ばれます。

正解は「独立性」です。複数のトランザクションが同時に実行されても、それぞれがまるで単独で実行されているかのように、互いの途中経過を見たり干渉したりさせない特性のことです。これにより、同時並行処理の安全性が保たれます。

選択肢1の「一貫性」はデータの整合性に関する特性、選択肢3の「永続性」は障害耐性に関する特性であり、同時実行制御の直接的な定義ではありません。

【解説】

正解: 3 複数のトランザクションが互いにリソースを待ち続け、どれも進行できない状態

この問題は、排他制御において発生するトラブルの一つである「デッドロック（すくみ）」の状態を具体的にイメージできているかを確認するものです。

正解は「複数のトランザクションが互いにリソースを待ち続け、どれも進行できない状態」です。例えば、処理Aが資源1を持っていて資源2の解放を待ち、処理Bが資源2を持っていて資源1の解放を待っている場合、お互いに相手が終わるのを永遠に待ち続けることになり、システムが停止してしまいます。

選択肢1の「処理を進めることができる状態」であれば、単なる競合でありデッドロックではありません。選択肢2の「繰り返し実行される状態」は、デッドロックではなく無限ループなどのバグに近い状態です。

【解説】

正解: 1 タイムアウトを設定する

この問題は、デッドロックが発生してしまった場合や、発生を防ぐための一般的な対処法を知っているかを問うものです。

正解は「タイムアウトを設定する」です。リソース（データ）のロック獲得待ち時間に上限（タイムアウト）を設けることで、一定時間待ってもロックが解除されない場合は処理を中断（エラー終了）させ、永遠に待ち続けるデッドロック状態を回避します。

選択肢2の「トランザクションを無制限に再試行する」は、状況が改善しない限り無限ループに陥るため不適切です。選択肢3の「リソースをランダムに取得する」は、むしろデッドロックの原因になります（データのアクセス順序を統一することが回避策として有効です）。

【解説】

正解: 2 任意のトランザクションを中断し、リソースを開放する

この問題は、データベース管理システム（DBMS）がデッドロックを検知した際に、どのように自動解決を図るかという仕組みを問うものです。

正解は「任意のトランザクションを中断し、リソースを開放する」です。DBMSはデッドロック状態を検知すると、デッドロックに関わっているトランザクションの一つを強制的にエラー終了（ロールバック）させます。これにより、そのトランザクションが持っていたリソース（ロック）が解放され、もう一方の処理が進めるようになります。

選択肢1の「全てのトランザクションを強制的に完了させる」ことは、データの整合性を壊すため不可能です。選択肢3の「全てのリソースを無条件に解放する」も、処理中のデータを保護できなくなるため行われません。

【解説】

正解: 2 各データベースの準備状況を確認する

この問題は、複数のデータベースにまたがる更新処理（分散トランザクション）を制御する「2相コミットメント（2相コミット）」の手順詳細を問うものです。

正解は「各データベースの準備状況を確認する」です。第1フェーズ（Prepareフェーズ）では、調整役（コーディネータ）が参加する全てのデータベースに対して「コミットする準備はできているか？」と問い合わせます。各データベースは、更新内容をログに書き出すなどして準備を整え、「コミット可能（Yes）」か「不可能（No）」かを返答します。

選択肢1の「コミットを命令する」のは、全員からYesが返ってきた後の第2フェーズの処理です。選択肢3の「強制的に完了させる」は手順として不適切です。

【解説】

正解: 3 コミットまたはロールバックを実行する

この問題は、2相コミットメントの第2フェーズ（Commitフェーズ）で何が行われるかを理解しているかを確認するものです。

正解は「コミットまたはロールバックを実行する」です。第1フェーズでの問い合わせに対し、全てのデータベースから「Yes（準備OK）」が返ってきた場合、調整役は全員に「コミット」を命令します。もし一つでも「No（失敗）」があった場合は、全員に「ロールバック」を命令し、全体の整合性を保ちます。

選択肢1の「準備フェーズに戻る」ことはありません。選択肢2の「データベース間の同期を取る」は目的そのものですが、第2フェーズの具体的な操作としてはコミットまたはロールバックの発行が正解です。

【解説】

正解: 2 分散トランザクションの整合性確保

この問題は、なぜ複雑な「2相コミットメント」という手順が必要なのか、その目的を理解しているかを問うものです。

正解は「分散トランザクションの整合性確保」です。データが複数の場所に分散している場合、ある場所では成功し、別の場所では失敗するといった事態が起きるとデータの不整合が生じます。2相コミットメントを使うことで、離れた場所にあるデータベース同士でも「全員で成功するか、全員で失敗するか（原子性）」を保証することができます。

選択肢1の「トランザクションの高速化」は誤りです。通信回数や待ち時間が増えるため、処理速度はむしろ低下します。選択肢3の「データベースの同期化」はレプリケーションなどの文脈で使われることが多く、2相コミットはあくまで一連の処理の整合性を守るためのプロトコルです。