【ITパスポート練習問題 6.3対応】(4) 開発プロセスに関するフレームワーク

【解説】

正解: 2 ソフトウェアの全ライフサイクルを管理する

この問題は、SLCP（Software Life Cycle Process、共通フレーム）の基本的な定義と目的を正しく理解しているかを確認するものです。

SLCPは、ソフトウェアの構想から開発、運用、保守、そして廃棄に至るまでの「全ライフサイクル」を通じて、必要な作業項目や役割分担を規定した共通の枠組みです。これを使用することで、発注者と受注者の間で言葉の定義や作業範囲の認識を合わせ、トラブルを防ぎ、透明性の高いシステム開発を行うことが主な目的です。

選択肢1の「コスト削減のみを追求する」は誤りです。コスト削減は結果として期待できる効果の一つですが、品質向上や納期の遵守なども重要な目的であり、「のみ」とする点は不適切です。選択肢3の「ハードウェアの設計工程にのみ適用する」も誤りです。SLCPは主にソフトウェアを中心としたシステム開発全体を対象としており、ハードウェアだけに限定されるものではありません。

【解説】

正解: 3 廃棄のみ

この問題は、SLCPがカバーする領域（プロセスの範囲）について理解しているかを問うものです。

SLCP（ソフトウェアライフサイクルプロセス）は、その名の通り、ソフトウェアが生まれてから役割を終えるまでの「一生」を扱います。これには「企画」「要件定義」「開発」「運用」「保守」そして「廃棄」までのすべての工程が含まれます。したがって、特定の一部だけを限定するような「廃棄のみ」という選択肢は、ライフサイクル全体を体系化したSLCPの性質として不適切であり、これが正解となります。

選択肢1の「運用・保守」や、選択肢2の「設計・実装」は、いずれもSLCPで定義されている主要なプロセスの一部であり、正しい記述です。

【解説】

正解: 1 ISO/IEC 12207

この問題は、システム開発の契約や作業の基準となる国際規格についての知識を問うものです。

正解の「ISO/IEC 12207」は、ソフトウェアライフサイクルプロセス（SLCP）に関する国際規格です。日本国内ではこれを基にした「JIS X 0160」や「共通フレーム」が広く利用されており、開発の各工程で実施すべき作業内容が定義されています。

選択肢2の「IEEE 802.11」は、無線LANの通信規格（Wi-Fiなど）に関連する標準であり、ソフトウェアの開発プロセスとは関係ありません。選択肢3の「W3C標準」は、HTMLやCSSなど、ウェブ技術に関わる標準化を行う団体やその規格を指すものであり、これもSLCPとは異なります。

【解説】

正解: 2 最適化された（Optimizing）

この問題は、組織のプロジェクト管理能力やプロセス改善の成熟度を評価するモデルである「CMMI」の段階（レベル）に関する知識を問うものです。

CMMIの成熟度モデルはレベル1からレベル5までの5段階で評価されます。最も高いレベルであるレベル5は「最適化している（Optimizing）」段階と呼ばれ、組織がプロセスを継続的に改善し、変化に柔軟に対応できる状態を指します。

選択肢1の「管理された（Managed）」はレベル2に該当し、プロジェクト単位での管理が行われている段階です。選択肢3の「定義された（Defined）」はレベル3に該当し、組織全体で標準化されたプロセスが定義されている段階です。いずれもレベル5よりは下位の段階です。

【解説】

正解: 2 組織の財務管理

この問題は、CMMI（能力成熟度モデル統合）がどのような領域の改善を目的としているか、その適用範囲を理解しているかを確認するものです。

CMMIは、主にシステム開発やソフトウェア開発、あるいはサービスの提供や調達といった「業務プロセス」の品質と効率を向上させるためのモデルです。したがって、企業の会計や資金繰りなどを扱う「組織の財務管理」は、CMMIの直接的な適用対象ではありません。

選択肢1の「ソフトウェア開発プロセスの改善」はCMMIの最も代表的な適用領域です。選択肢3の「サービス提供のプロセス改善」もCMMI-SVC（サービスのためのCMMI）として定義されており、適用対象に含まれます。

【解説】

正解: 3 プロセスは混乱状態にあり管理されていない

この問題は、CMMIの成熟度レベルにおける「レベル1」の状態を具体的にイメージできているかを問うものです。

レベル1の「初期（Initial）」段階は、プロセスが未整備で、場当たり的な対応が行われている状態を指します。成功は個人の力量（属人性）に依存しており、予算やスケジュールの超過が頻繁に発生する「混乱状態」であるのが特徴です。

選択肢1の「プロセスが安定して管理されている」状態は、一般的にレベル2（管理された）以上の特徴です。選択肢2の「プロセスは予測可能で最適化されている」状態は、さらに上位のレベル4（定量的に管理された）やレベル5（最適化している）の特徴であり、初期段階の説明としては誤りです。