【ITパスポート練習問題 6.3対応】(4) 価格設定手法

【解説】

正解: 1 競争が激化する前に高価格を設定して利益を得る

この問題は、製品の価格設定戦略の一つである「スキミングプライシング」の基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「競争が激化する前に高価格を設定して利益を得る」です。スキミングプライシング（上澄み価格戦略）とは、新製品を市場に投入する際、特に導入初期に高価格を設定する戦略です。これにより、高い価格でも購入したいと考える顧客層（イノベーター層など）から、競合他社が参入する前に早期に開発コストを回収し、大きな利益（上澄み＝スキム）を確保することを目指します。

不正解の選択肢「市場参入の障壁を低くするために低価格を設定する」は、市場シェアの早期獲得を目指す「ペネトレーションプライシング」の説明です。「市場価格に応じて常に価格を変動させる」は、需要と供給のバランスを見て価格を柔軟に変更する「ダイナミックプライシング」の説明です。

【解説】

正解: 3 革新的な技術を使った新製品

この問題は、スキミングプライシング戦略が、どのような性質を持つ商品やサービスに適用するのが適しているかを理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「革新的な技術を使った新製品」です。スキミングプライシングは、高価格であっても「欲しい」と思わせるだけの強い魅力や独自性が必要です。他社がまだ模倣できない革新的な技術や、強力なブランド力を持つ製品は、高価格でも購入する顧客層が存在するため、この戦略に適しています。

不正解の選択肢「市場の成熟期にある日用品」や「大量生産によるコモディティ商品」は、すでに多くの競合製品が存在し、価格競争が起きやすい分野です。そのため、高価格を設定するスキミングプライシング戦略には適していません。

【解説】

正解: 2 初期需要層が限られる

この問題は、スキミングプライシング戦略を採用する際の短所、つまりデメリットやリスクとして何が考えられるかを理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「初期需要層が限られる」です。この戦略は意図的に高い価格を設定するため、その価格を支払ってでも購入したいと考える顧客層は、必然的に限られてしまいます。これがデメリットとなり、初期の売上数量が伸び悩むリスクがあります。

不正解の選択肢「初期投資が高くなる」は、製品開発そのものにかかる費用のことであり、価格設定戦略のデメリットではありません。「市場参入の障壁が低くなる」は、むしろ逆です。低価格で市場を早期に占有する「ペネトレーションプライシング」は、競合の参入意欲を削ぐため「参入障壁を高くする」効果が期待できます。

【解説】

正解: 2 市場シェアを早期に拡大できる

この問題は、スキミングプライシングとは対照的な価格設定戦略である「ペネトレーションプライシング」の主な利点（メリット）を理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「市場シェアを早期に拡大できる」です。ペネトレーションプライシング（市場浸透価格戦略）は、新製品を市場に投入する際、あえて「低価格」に設定する戦略です。価格の安さを武器に多くの顧客に受け入れられることを目指し、短期間で市場占有率（市場シェア）を高めることが最大の利点です。

不正解の選択肢「初期需要が少なくても利益を確保できる」は、高価格を設定するスキミングプライシングの利点です。「プレミアム価格によるブランド力強化ができる」のも、高価格戦略（スキミングプライシングや威光価格戦略）の特徴です。

【解説】

正解: 3 競争が激しく価格競争がある市場

この問題は、ペネトレーションプライシング（市場浸透価格戦略）が、どのような市場環境で特に有効に機能するかを理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「競争が激しく価格競争がある市場」です。ペネトレーションプライシングは、低価格によって競合他社よりも優位に立ち、シェアを奪う戦略です。そのため、すでに多くの競合が存在し価格競争が起きている市場や、これから多くの競合が参入してくると予想される市場で特に有効です。

不正解の選択肢「競争が少なくブランド力が高い市場」や「高度な技術革新が求められる市場」は、他社が真似できない独自性があるため、むしろ高価格を設定しやすい（＝スキミングプライシングが有効な）市場条件です。

【解説】

正解: 1 利益率が低くなる

この問題は、ペネトレーションプライシング戦略を採用する際の短所、つまりデメリットやリスクとして何が考えられるかを理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「利益率が低くなる」です。この戦略は、意図的に「低価格」で販売するため、製品1個あたりの利益は小さくなります。つまり、利益率が低くなることが最大のリスクです。もし販売数量が想定していたほど伸びなかった場合、開発コストを回収できず赤字が続く可能性もあります。

不正解の選択肢「ブランドイメージが低下する」は、低価格戦略全般のリスクではありますが、利益率の低下ほど直接的・根本的なリスクではありません。「初期需要が予測しにくい」のは、新製品全般に共通する課題であり、この戦略固有のリスクとは言えません。

【解説】

正解: 2 市場状況に応じた最適な価格設定ができる

この問題は、IT技術の進展によって可能になった「ダイナミックプライシング」という価格設定手法の主な利点（メリット）を理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「市場状況に応じた最適な価格設定ができる」です。ダイナミックプライシング（変動価格制）とは、需要と供給のバランス、時間帯、天候、競合他社の価格動向といった様々な「市場状況」に合わせて、価格を柔軟に（時にはリアルタイムで）変更する手法です。これにより、常に収益が最大化されるような「最適な価格」での販売を目指すことができます。

不正解の選択肢「常に低価格で販売できる」は誤りです。需要が高まれば、価格はむしろ高くなります。「初期需要を確実に取り込める」は、価格設定だけで保証されるものではなく、この手法の直接的な利点ではありません。

【解説】

正解: 1 航空券やホテルの予約サイト

この問題は、ダイナミックプライシング（変動価格制）が、実際のビジネスにおいてどのような分野で活用されているか、その具体例を理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「航空券やホテルの予約サイト」です。航空券の価格は、出発日が近づくにつれて、また残席数（供給）や予約状況（需要）に応じて細かく変動します。ホテルの宿泊費も、曜日や季節、空室状況によって変わります。これらはダイナミックプライシングの最も代表的な活用例です。

不正解の選択肢「工場での大量生産品の販売」（例：スーパーの商品など）は、一般的に価格は固定されています。「定額料金のサブスクリプションサービス」は、その名の通り「定額」が基本であり、価格が変動するダイナミックプライシングとは対極にあるサービスモデルです。

【解説】

正解: 3 データ分析とAIによる価格予測システム

この問題は、ダイナミックプライシング（変動価格制）を導入し、効果的に運用するために、どのようなIT技術が基盤として必要になるかを理解しているかを確認するものです。

正解の選択肢は「データ分析とAIによる価格予測システム」です。ダイナミックプライシングでは、需要や競合の動向、天候、過去の販売実績など、膨大な量の「データ」をリアルタイムで収集・「分析」する必要があります。そして、その分析結果を基に、AI（人工知能）などが最適な価格を「予測」し、自動で価格を変更する「システム」が不可欠となります。

不正解の選択肢「顧客の直接訪問による販売促進」は人的な営業活動、「単純な価格表の印刷と配布」はアナログな手法であり、リアルタイムで柔軟な価格変更を行うダイナミックプライシングを支える技術ではありません。