【ITパスポート練習問題 6.3対応】① 業務分析手法

【解説】

正解: 1 累積頻度を示すことで全体の割合がわかる

この問題は、QC七つ道具の一つである「パレート図」が、どのようなグラフであり、何を読み取ることができるかを理解しているかを確認するものです。

パレート図は、項目別のデータを値の大きい順に並べた棒グラフと、それらの値を先頭から順に足し合わせた「累積頻度（または累積割合）」を示す折れ線グラフを組み合わせたものです。この折れ線グラフを見ることで、上位の項目が全体（100%）のうち、どれくらいの割合を占めているかを一目で把握することができます。

「時系列の変化を示すための折れ線グラフ」は、時間の経過に伴うデータの変動を見るためのものであり、パレート図の目的とは異なります。「各要因の個別データを比較するためのヒストグラム」も誤りです。ヒストグラムはデータの分布（ばらつき）を見るためのグラフであり、パレート図で使うのは項目別の棒グラフです。

【解説】

正解: 2 問題解決の優先順位の明確化

この問題は、パレート図が「何のために」使われるのか、その主な利用目的を理解しているかを確認するものです。

パレート図は、「結果の大部分は、ごく一部の原因によって引き起こされている」（パレートの法則）という考え方に基づいています。棒グラフと累積割合の折れ線グラフを使って、どの項目（例：不良品の原因、クレームの種類）が全体に最も大きな影響を与えているかを視覚化します。これにより、「問題解決の優先順位を明確化」し、最も効果的な対策にリソースを集中するために利用されます。

「製品の売上予測のモデル化」や「時系列変化の観察と予測」には、通常、回帰分析や時系列分析、移動平均法などの他の手法が用いられます。

【解説】

正解: 3 折れ線グラフ

この問題は、パレート図を構成する2種類のグラフ（棒グラフと折れ線グラフ）が、それぞれ何を示しているかを正確に理解しているかを確認するものです。

パレート図では、項目ごとの個別の値（例：不良件数や金額）を、値が大きい順に左から「棒グラフ」で示します。そして、それらの値を左から順に足し上げていった合計値が、全体に対してどのくらいの割合（パーセント）になるかを示した「累積割合」を「折れ線グラフ」で表します。

「円グラフ」は、全体に対する各項目の構成比を示すために使われますが、パレート図では使用されません。

【解説】

正解: 2 総売上の大半を占める重要な項目

この問題は、パレート図の考え方を応用した分析手法である「ABC分析」について、その分類（A・B・C）の意味、特に「A群」の定義を理解しているかを確認するものです。

ABC分析は、在庫管理や売上分析などで、多くの品目を重要度に応じて分類する手法です。「A群」とは、品目数としては少ないものの、「総売上の大半（例：上位70%）を占める重要な項目」のグループを指します。企業はこのA群の品目を最重要と位置づけ、優先的に管理します。

「総売上のごく一部を占める低重要度の項目」は「C群」に分類されます。「在庫管理が不要な非売品」は、通常、ABC分析の対象外となります。

【解説】

正解: 3 リソースを重点的に配分するための重要度分類

この問題は、ABC分析が「何のために」行われるのか、その根本的な目的（重点管理）を理解しているかを確認するものです。

ABC分析の目的は、すべての品目を同じように管理するのではなく、重要度（例：売上高、在庫金額）に応じて「重要度分類」（A群、B群、C群）を行うことです。これにより、最も重要なA群に対して人員やコストといった限りある「リソースを重点的に配分する」ことが可能になり、管理業務全体の効率化を図ることができます。

「すべての在庫品目を同等に管理する」のは非効率であり、ABC分析の考え方（重点管理）とは正反対です。「商品のライフサイクルを管理する」のは、PPM（プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント）などの手法です。

【解説】

正解: 2 在庫管理における重要品目の選定

この問題は、ABC分析がどのような業務で具体的に活用されるか、その代表的な適用例を理解しているかを確認するものです。

ABC分析は、多数ある品目の中から重要度の高いものを特定し、管理に強弱をつける（重点管理する）ための手法です。特に「在庫管理」業務において、在庫金額や出庫頻度などに基づいて品目をA・B・C群に分け、「重要品目の選定」と管理レベルの最適化（例：A群は厳密に、C群は簡易に管理する）に用いるのが、最も代表的な適用例です。

「顧客満足度アンケートの評価」や「社員の勤務評価の分類」は、ABC分析の考え方とは異なる基準で行われるため、適用には適していません。

【解説】

正解: 2 問題の原因を体系的に整理する

この問題は、QC七つ道具の一つである「特性要因図」が、「何のために」使われるのか、その主な目的を理解しているかを確認するものです。

特性要因図は、ある特定の結果（特性、例：品質が悪い）に対して、その原因（要因）として考えられることを網羅的に洗い出し、「問題の原因を体系的に整理する」ために用いられる図です。見た目が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーン・チャートとも呼ばれます。

「データの予測モデルを構築する」ためには回帰分析などが、「作業手順を時系列で示す」ためにはフローチャートやガントチャートなどが用いられます。

【解説】

正解: 1 顧客満足度

この問題は、特性要因図を作成する際に、原因（要因）を分類するために用いられる「大骨」（主なカテゴリ）として、適切でないものはどれかを理解しているかを確認するものです。

特性要因図は、「特性（結果）」と「要因（原因）」の関係を整理する図です。製造業では、要因（原因）を分類する主なカテゴリ（大骨）として、4M（Man:人、Method:方法、Material:材料、Machine:機械）がよく使われます。「方法（作業手順）」や「材料（使用部品）」は、この要因カテゴリの例として適切です。

一方、「顧客満足度」は、要因（原因）ではなく、分析の対象となる「特性（結果）」そのものになることはあっても、原因を分類するカテゴリとしては不適切です。

【解説】

正解: 1 品質管理と問題解決

この問題は、特性要因図が、どのような業務分野で主に利用されるかを理解しているかを確認するものです。

特性要因図は、ある問題（特性）に対して、考えられる原因（要因）を網羅的に洗い出し、体系的に整理するためのツールです。これは、工場の「品質管理（QC）」活動において、不良品発生などの「問題解決」を図る際、原因を究明する（なぜなぜ分析など）ための第一歩として広く利用されます。

「市場調査と売上予測」や「マーケティング戦略の策定」では、アンケート調査、回帰分析、SWOT分析など、他の手法が主に用いられます。

【解説】

正解: 3 異常が発生したと判断する境界線

この問題は、QC七つ道具の一つである「管理図」に引かれる「管理限界線」（UCL/LCL）が、どのような役割を持っているかを理解しているかを確認するものです。

管理限界線（上方管理限界線UCLと下方管理限界線LCL）は、工程が安定した状態（管理状態）にあるときに、データが統計的にばらつく予測範囲を示す線です。日々記録されるデータがこの線の内側にあれば「正常」、この線を超えた場合は「異常が発生したと判断する境界線」として機能します。これにより、工程の異常を早期に発見できます。

「品質の目標値」や顧客の要求仕様を示す線は「規格線」と呼ばれ、統計的に算出される管理限界線とは別物です。「生産スケジュールの締切日」はガントチャートなどで管理されます。

【解説】

正解: 2 データが上限値を超えている場合

この問題は、管理図を用いて工程を監視する際に、どのような状態を「異常」と判断するか、その最も基本的なルールを理解しているかを確認するものです。

管理図では、データが管理限界線（上限値・下限値）の内側で安定してばらついている状態を「管理状態（正常）」と判断します。これに対し、データ点が管理限界線の「上限値を超えている場合」（または下限値を下回っている場合）は、偶然とは考えにくい原因によって工程が乱れた「異常状態」と見なします。

「データが管理限界線内に収まっている場合」や「データが一定範囲で安定している場合」は、基本的に「正常」と判断されます。

【解説】

正解: 3 業務工程の品質管理を行う場合

この問題は、管理図がどのような目的で最も効果的に使われるかを理解しているかを確認するものです。

管理図は、製造工程や「業務工程」が安定した状態にあるかどうかを時系列で監視（モニタリング）し、異常の兆候を早期に検知するために用いられる統計的手法です。そのため、製品やサービスの「品質管理」を継続的に行う場面で最も効果的に使われます。

「製品の販売予測」や「財務データの予測モデル」の構築には、管理図ではなく、回帰分析や時系列分析などの手法が用いられます。

【解説】

正解: 1 目標達成の手段を体系的に整理する

この問題は、新QC七つ道具の一つである「系統図」が、「何のために」使われるのか、その主な目的を理解しているかを確認するものです。

系統図は、ある「目標」を達成するために、どのような「手段」が必要かを考え、さらにその手段を実行するための具体的な手段（孫手段）へと、段階的に掘り下げていく手法です。「目標」と「手段」の関係を「体系的に整理する」ために用いられます。

「データ分析のモデルを構築する」のは回帰分析など、「プロセスの異常値を検出する」のは管理図の役割です。

【解説】

正解: 2 問題解決のための手段の洗い出し

この問題は、系統図がどのような思考プロセス（目標から手段への展開）で役立つかを理解しているかを確認するものです。

系統図は、「目標」を「手段」へと具体化・展開していく手法です。そのため、「問題解決」という大きな目標を達成するために、どのような「手段（対策案）を洗い出し」、それをどのように具体的な行動レベルまで落とし込んでいくか、を論理的に整理する場面で非常に適しています。

「製造ラインの異常検出」には管理図が、「売上推移の時系列分析」には折れ線グラフが適しています。

【解説】

正解: 3 上位の目標から具体的な行動まで階層的に整理する

この問題は、系統図がどのような構造（見た目や論理の展開方法）を持っているかを理解しているかを確認するものです。

系統図は、一番左に「上位の目標」（達成したいこと）を置き、それを実現するための手段（1次手段）、さらにその1次手段を実現するための手段（2次手段、＝「具体的な行動」）へと、左から右に向かって「階層的に整理」していくという特徴を持ちます。

「棒グラフを使ってデータを視覚化する」のはパレート図など、「異常なデータポイントを強調する」のは管理図などの役割です。

【解説】

正解: 2 全体の所要時間に影響を与える最長の経路

この問題は、プロジェクトのスケジュール管理手法であるPERT（アローダイアグラム）における、最も重要な概念「クリティカルパス」の定義を理解しているかを確認するものです。

PERT図において、プロジェクトの開始から終了までには複数の作業経路（パス）が存在します。このうち、所要時間の合計が最も長くなる経路のことを「クリティカルパス（最長経路）」と呼びます。この経路上の作業が少しでも遅れると、プロジェクト全体の完了日も遅れてしまうため、「全体の所要時間に影響を与える」最も重要な経路とされます。

「最短の作業ルート」はクリティカルパスの逆であり、全体の所要時間には影響しません。

【解説】

正解: 2 各作業の開始や終了のポイントを示す

この問題は、PERT図（アローダイアグラム）を構成する要素である「ノード（丸印、イベント）」が、何を意味しているかを理解しているかを確認するものです。

PERT図では、作業（タスク）を矢印（アロー）で表し、その矢印の始点と終点を「ノード（イベント、丸印）」で結びます。このノードは、「各作業の開始や終了のポイント（時点）」を示しており、作業と作業の順序関係（依存関係）を定義する役割を果たします。

ノード自体が完了予測や資源配分を示すわけではありません。完了予測はクリティカルパスを計算することで、資源配分は別の手法で管理されます。

【解説】

正解: 3 プロジェクトの遅延リスクを特定し管理できる

この問題は、PERTを用いて分析すること（特にクリティカルパスを特定すること）の主な利点を理解しているかを確認するものです。

PERT図を作成し、クリティカルパス（プロジェクト完了の律速となる経路）を特定することで、どの作業が遅れるとプロジェクト全体に直接影響が出るか（＝「遅延リスク」）を明確に「特定」できます。これにより、管理者はその重要な作業を重点的に「管理できる」ようになり、プロジェクトの成功確率を高めることができます。

PERTは主に計画段階の手法であり、「リアルタイムでの追跡」はガントチャートなどで行います。「コスト見積り」はWBS（作業分解構成図）などを用いて行われるのが一般的です。

【解説】

正解: 2 タスク間の依存関係と最長経路

この問題は、クリティカルパスを見つけ出す（分析する）ために、どのような情報や要素が不可欠であるかを理解しているかを確認するものです。

クリティカルパス分析は、プロジェクトの総所要時間を決定する経路を特定する作業です。そのためには、まず「タスク間の依存関係」（どの作業が終わらないと次が始められないか）を整理し、各作業の所要時間に基づいて、開始から終了までの全経路のうち「最長経路」はどれかを計算することが最も重要です。

「作業の総コスト」や「タスクごとの品質管理」は、プロジェクト管理の重要な要素ですが、クリティカルパス（スケジュール）を分析する上で直接重視する要素ではありません。

【解説】

正解: 3 プロジェクトの進行に直接影響を与えるタスク

この問題は、「クリティカルパス上にあるタスク」が、それ以外のタスクと比べてどのような特長（重要性）を持つかを理解しているかを確認するものです。

クリティカルパスは、プロジェクトの総所要時間を決定する最長の経路です。そのため、この経路上にあるタスクには「余裕時間（フロート）」がありません。これらのタスクの開始が遅れたり、作業に予定より時間がかかったりすると、即座に「プロジェクトの進行（＝全体の完了日）に直接影響を与える」ことになります。

「遅延してもプロジェクト全体に影響しないタスク」は、クリティカルパス上にない、余裕時間を持つタスクです。「コストが高い」かどうかは、クリティカルパスの定義とは直接関係ありません。

【解説】

正解: 1 全体のスケジュールを最適化できる

この問題は、なぜクリティカルパスを特定することがプロジェクト管理において重要なのか、その主な利点を理解しているかを確認するものです。

クリティカルパスを特定することで、プロジェクト全体の遅延に直結する、最も重要な作業群が明らかになります。管理者は、これらの作業が遅れないようにリソース（人、モノ、金）を集中投入したり、場合によっては作業の順番を見直したりすることで、プロジェクト「全体のスケジュールを最適化（短縮）できる」ようになります。

「タスクごとの予算を設定できる」や「チームメンバーの評価基準を明確にできる」ことは、クリティカルパス分析の直接的な利点ではありません。

【解説】

正解: 2 観測データからの予測モデルの構築

この問題は、統計的手法である「最小二乗法」が、どのような目的で使われる計算手法なのかを理解しているかを確認するものです。

最小二乗法は、主に回帰分析において、散布図などにプロットされた「観測データ」の集まりに対して、最もよく当てはまる直線や曲線（回帰式）を求めるために使われます。この求められた回帰式（数式）は、ある値から別の値を予測するための「予測モデル」として利用されます。

「データの分類と整理」にはヒストグラムやABC分析、「品質管理の異常検出」には管理図などが用いられます。

【解説】

正解: 3 誤差の二乗の合計

この問題は、「最小二乗法」という名前の由来、すなわち「何を」「最小」にする計算手法なのか、その定義を理解しているかを確認するものです。

最小二乗法は、観測されたデータ（実際の点）と、求めようとする予測線（回帰直線）との縦方向の「誤差（ズレ、残差）」に着目します。この誤差にはプラスとマイナスがあるため、そのまま合計するとゼロに近づいてしまいます。そこで、各点の「誤差を二乗」し（すべて正の値にする）、その「合計」が最も小さく（最小に）なるような直線を求める手法です。

「データの範囲」や「データ点の間隔」を最小化する手法ではありません。

【解説】

正解: 1 年間売上の将来予測

この問題は、最小二乗法（回帰分析）が、どのような具体的なビジネスの場面で応用されるかを理解しているかを確認するものです。

最小二乗法は、過去のデータの傾向から将来を予測するモデルを作るのに適しています。例えば、過去数年間の「年間売上」の推移データ（時系列データ）に対し、最小二乗法を用いて傾向を示す直線（回帰直線）を引くことで、「将来予測」を行うことができます。

「在庫管理の優先順位付け」にはABC分析が、「プロジェクトタスクの管理」にはWBSやガントチャート、PERT図が適しています。

【解説】

正解: 1 データ間の関係性を明らかにすること

この問題は、統計的な分析手法である「回帰分析」の根本的な目的は何かを理解しているかを確認するものです。

回帰分析は、ある結果となる変数（従属変数、例：売上）と、それに影響を与える要因となる変数（独立変数、例：広告費）との「データ間の関係性」を、数式（回帰式、モデル）として「明らかにすること」を目的とします。このモデルを使うことで、要因から結果を予測したり、要因が結果に与える影響度を測ったりできます。

「データをカテゴリ別に分類すること」はクラスター分析など、「データの誤差を取り除くこと」はデータクレンジング（前処理）の役割です。

【解説】

正解: 2 他の変数に影響を与える変数

この問題は、回帰分析で使われる基本的な用語「独立変数」と「従属変数」の役割を区別できているかを確認するものです。

回帰分析では、原因と結果の関係をモデル化します。「独立変数」とは、予測の「原因」となる側、すなわち「他の変数（従属変数）に影響を与える変数」のことを指します。例えば、「広告費（独立変数）が売上（従属変数）に影響を与える」といった関係性で使われます。

「分析の対象となるデータの予測結果」は、独立変数ではなく「従属変数（または目的変数）」と呼ばれます。「変化しない固定値」は「定数」です。

【解説】

正解: 2 売上に影響する複数の要因の分析

この問題は、回帰分析の中でも「重」回帰分析が、「単」回帰分析とどう異なり、どのような場面で使われるかを理解しているかを確認するものです。

原因となる独立変数が1つだけの回帰分析を「単回帰分析」（例：広告費と売上）と呼びます。それに対し、「重回帰分析」は、原因となる独立変数が2つ以上ある場合、つまり「売上に影響する複数の要因」（例：広告費、店舗面積、気温など）が、同時に結果（売上）にどの程度影響しているかを分析する手法です。

「売上と広告費の単純な関係分析」は、独立変数が1つのため単回帰分析です。「市場シェアのランキング作成」は回帰分析の用途ではありません。

【解説】

正解: 1 データの因果関係

この問題は、統計データを解釈する上で非常に重要な「相関関係」と「因果関係」の違いを理解しているかを確認するものです。

「相関関係」とは、2つの変数が連動して変化する（一方が増えるともう一方も増える、または減る）という「関係性」が見られる状態を指します。しかし、2つの変数に強い相関関係が見られたからといって、必ずしも一方の変数がもう一方の変数の「原因」である（＝「因果関係」がある）とは限りません。相関関係は因果関係の必要条件の一つですが、十分条件ではありません。

相関関係がある場合、データ間には「一定の関係」や「並び順の規則性」は見られます。

【解説】

正解: 1 気温が上がるとアイスクリームの売上が増える

この問題は、「相関関係」のうち、特に「正の相関」とはどのような関係か、具体例で理解しているかを確認するものです。

「正の相関」とは、2つの変数が同じ方向に動く関係、つまり一方が増える（上がる）と、もう一方も増える（上がる）関係を指します。「気温が上がる」と「アイスクリームの売上が増える」は、この関係の典型的な例です。

「雨量が増える」と「日照時間」は減る傾向にあるため、「負の相関」です。「勉強時間が減る」と「テストの点数」も減る傾向（＝勉強時間が増えると点数も増える）にあるため、「正の相関」の関係ですが、選択肢の記述（減ると増える）は「負の相関」を示しています。

【解説】

正解: 3 鳥の鳴き声の回数と日の出時間

この問題は、「相関はあるが因果はない」可能性が高い状況、すなわち「擬似相関（見せかけの相関）」の例を理解しているかを確認するものです。

「鳥の鳴き声の回数」と「日の出時間」は、どちらも早朝に観測される現象であり、データ上は強い相関関係（同時に起こる傾向）が示されるかもしれません。しかし、鳥が鳴く「から」日が出るわけでも、日が出る「から」鳥が鳴くわけでもなく、両者の間に直接的な「因果関係がない可能性が高い」です。

「練習時間」と「パフォーマンス」、「車の速度」と「移動距離」は、それぞれ一方（原因）がもう一方（結果）に影響を与える、明確な因果関係が一般的に認められます。

【解説】

正解: 2 第三の要因が両方の変数に影響していること

この問題は、なぜ「擬似相関（見せかけの相関）」が発生するのか、その主なメカニズムを理解しているかを確認するものです。

擬似相関は、2つの変数（AとB）に直接的な因果関係がないにもかかわらず、その両方に共通して影響を与える「第三の要因（隠れた変数C）」が存在するために発生します。例えば、Cが増える（例：火事の規模）と、A（消防士の数）も増え、かつB（被害額）も増えるため、AとBの間にあたかも直接的な関係があるかのように見えてしまいます。

「データの誤った計算方法」や「測定の精度」は、擬似相関とは異なる問題です。

【解説】

正解: 2 消防士の数と火事の被害額が比例する

この問題は、「擬似相関」の典型的な事例として最も適切なものはどれかを理解しているかを確認するものです。

データを見ると、「出動した消防士の数」が多い現場ほど「火事の被害額」も大きい、という正の相関が見られる傾向があります。しかしこれは、「消防士が多いこと」が「被害額を増やす原因」なのではなく、「火事の規模（第三の要因）」が、「消防士の数（多い）」と「被害額（大きい）」の両方に影響を与えているためです。これが擬似相関の代表例です。

「所得」と「支出」、「勉強時間」と「成績」は、それぞれ直接的な因果関係があると考えられる例です。

【解説】

正解: 2 第三の要因の存在を考慮する

この問題は、擬似相関にだまされず、データ間の関係を正しく解釈するために、どのような対策（分析上の注意点）が必要かを理解しているかを確認するものです。

擬似相関を防ぐためには、2つの変数の相関関係だけを見て短絡的に因果関係があると結論づけるのではなく、その両方に影響を与えている可能性のある「第三の要因の存在を考慮する」ことが最も重要です。分析手法としては、その第三の要因の影響を取り除いた上で、2変数間の真の関係を調べる（偏相関分析など）必要があります。

「データの標本数を減らす」と、偶然による相関が出やすくなり逆効果です。「測定誤差を完全になくす」ことは重要ですが、擬似相関（解釈の問題）の直接的な対策にはなりません。