【ITパスポート練習問題 6.3対応】① AI 利活用の原則及び指針

【解説】

正解: 2 決定のプロセスを説明可能にする仕組みを導入する

この問題は、AIの公平性（フェアネス）を確保するためにどのような取り組みが求められるかを理解しているかを確認するものです。特定の集団に不利にならないようにAIを設計・運用する際、何が重要かを問うています。

正解の選択肢2は、AIの決定プロセスを説明可能にする仕組みを導入することで、公平性を検証しやすくする取り組みを示しています。どのようなデータと判断基準によって結果が出たのかが分かれば、特定の人種や性別などに偏った扱いをしていないかチェックでき、問題があれば修正できます。このように説明可能性は、公平性を担保するための前提条件になります。

選択肢1は、特定の人種や性別に偏った学習データを用いることで、差別的な結果を生むバイアスの原因となり、公平性を損ねます。フェアなAIを目指す方向とは逆です。選択肢3は、利用者がAIの動作を理解しなくてもよいとする考え方であり、意思決定の透明性が確保されず、結果として不公平な扱いが生じても気づきにくくなります。どちらも公平性を高める行動としては不適切です。

【解説】

正解: 3 AIの出力結果がどのように得られたのかを記録する

この問題は、AIに関する「説明責任（アカウンタビリティ）」とは具体的に何を指すのかを理解しているかを確認するものです。AIが出した結果に対して、誰がどのように責任を負うのかを明確にするための仕組みが問われています。

正解の選択肢3は、AIの出力がどのような入力や処理過程を経て得られたのかを記録する行為を示しています。処理の履歴や根拠が記録されていれば、「なぜこの結論になったのか」を後から説明でき、問題があった場合の検証や改善、責任の所在の明確化につながります。これは説明責任を果たすための具体的な取り組みと言えます。

選択肢1は、AIの出力結果に基づく最終的な意思決定を利用者に丸投げしており、開発者・提供者側の責任が不明確になります。説明責任を果たす姿勢とは言えません。選択肢2は、AIの出力にエラーや問題があっても利用者に知らせないという内容であり、利用者が適切な判断を行う機会を奪い、信頼も損ないます。どちらも説明責任を具体化する行動としては不適切です。

【解説】

正解: 2 利用者がAIの仕組みを学べる教材を提供する

この問題は、AI社会における「透明性」を高めるために、どのような取り組みが必要かを理解しているかを確認するものです。AIがブラックボックス化せず、利用者がある程度仕組みを理解できることの重要性が問われています。

正解の選択肢2は、利用者がAIの基本的な仕組みや限界を学べる教材を提供する取り組みを示しており、透明性向上に直接つながります。AIの判断が「万能ではないこと」や「一定の前提や仮定に基づくこと」を理解できれば、利用者は出力結果を鵜呑みにせず、適切に活用しやすくなります。

選択肢1は、AIのアルゴリズムの一部を公開しないという内容で、やむを得ない非公開部分がある場合もありますが、「透明性を高める取り組み」としては適切とは言えません。選択肢3は、AIの出力結果を利用者に隠すものであり、判断の根拠が見えなくなってしまい、透明性も信頼性も大きく損ないます。いずれも透明性向上とは逆の方向です。

【解説】

正解: 1 利用目的の透明性と安全性の確保

この問題は、AI利活用ガイドラインで特に重要視されているポイントが何かを理解しているかを確認するものです。AIをどのような目的で使い、その際に何を守るべきかが問われています。

正解の選択肢1は、AIの利用目的を明確にし、その目的に沿って安全に運用するという基本的な考え方を表しています。利用者に対して「何のために」「どの範囲で」AIを使うのかを示しつつ、安全性や信頼性を確保することが、ガイドラインの中核となる考え方です。

選択肢2は、性能向上のために人権を無視するとしており、明らかに倫理的に問題があります。どれほど高性能でも、人権やプライバシーを犠牲にするようなAI利活用は認められません。選択肢3は、利用者にAIシステムの操作方法を非公開にするという内容であり、適切な使い方や制約条件が伝わらず、誤用や事故のリスクが高まります。いずれもガイドラインの趣旨に反するため不適切です。

【解説】

正解: 2 利用者がAIの判断基準を理解できるよう工夫する

この問題は、AIを利活用する際にどのような指針を守るべきか、特に利用者とのコミュニケーションの観点から理解しているかを確認するものです。AIの判断を「わかる形」で伝える重要性が問われています。

正解の選択肢2は、利用者がAIの判断基準や考え方をある程度理解できるように、説明やインターフェースを工夫するという取り組みを示しています。例えば、「なぜこの結果になったのか」「どのような条件で結果が変わるのか」を分かりやすく提示することで、利用者はAIの出力を適切に評価し、自分の意思決定に生かすことができます。

選択肢1は、AIの決定に誤りがあっても利用者に通知しないという内容であり、誤った判断に基づく被害を拡大させるおそれがあります。説明責任や信頼性の観点からも不適切です。選択肢3は、利益を最優先し倫理的な問題を考慮しないとするもので、AI利活用ガイドラインが重視する倫理性や社会的受容性を無視しています。どちらも守るべき指針としては誤りです。

【解説】

正解: 3 AIの運用ルールを作成し運用リスクを管理する

この問題は、AI利活用ガイドラインに基づいて、組織としてどのような実務的取り組みを行うべきかを理解しているかを確認するものです。リスク管理とルール作りの重要性が問われています。

正解の選択肢3は、AIを運用する際のルールをあらかじめ定め、リスクが顕在化しないように管理していく取り組みを示しています。例えば、誤判定が起きた場合の対応手順や、扱ってよいデータの範囲、アクセス権限の管理などをルールとして整理し、継続的に見直していくことが求められます。

選択肢1は、プライバシー保護を軽視してビッグデータを活用するとしており、個人情報保護法や倫理的な要請に反します。選択肢2は、利用者にAIの影響を知らせずにサービスを提供するという内容で、AIの利用有無や影響範囲を隠すことになり、利用者の自己決定権を損ないます。どちらもガイドラインに沿った適切な取り組みとは言えません。

【解説】

正解: 2 AIの開発や運用に倫理的な原則を適用する

この問題は、「信頼できるAI」のための倫理ガイドラインがどのような行動を推奨しているかを理解しているかを確認するものです。技術だけでなく倫理を組み込む姿勢が問われています。

正解の選択肢2は、AIの開発・運用プロセスに倫理的な原則を適用するという内容であり、ガイドラインの中心的な考え方を表しています。例えば、公平性、プライバシー保護、安全性、説明可能性などの原則を設計・運用段階から意識することで、社会から信頼されるAIを実現しやすくなります。

選択肢1は、データの偏りを無視してAIを運用するという内容であり、不公平な結果や差別的な扱いを生む原因になります。信頼性を大きく損なう行為です。選択肢3は、AIの判断基準をすべて秘密にして公表しないとしており、透明性を著しく欠きます。利用者や社会からの検証が行えず、誤りやバイアスの是正も困難になります。

【解説】

正解: 1 法的要件を遵守し人権を尊重する

この問題は、信頼できるAIのための倫理ガイドラインが重視する「基本原則」が何であるかを理解しているかを確認するものです。法令遵守と人権尊重という土台を認識しているかが問われています。

正解の選択肢1は、AIの開発・運用において関連する法律を守ること、そして人間の基本的権利を尊重することを明示しており、倫理ガイドラインの根本的な前提を表しています。どれほど革新的な技術であっても、法と人権を無視しては社会的な受容は得られません。

選択肢2は、利益の最大化のために偏りを容認するとしており、公平性や差別禁止の原則に反します。一部の人に過度の不利益を与える可能性が高く、信頼できるAIとは言えません。選択肢3は、システムのエラーを利用者に知らせないとするもので、透明性と安全性を軽視しています。問題があっても隠してしまう姿勢は、倫理ガイドラインに明確に反します。

【解説】

正解: 2 データの匿名化や仮名化を実施し情報漏洩を防ぐ

この問題は、信頼できるAIのための倫理ガイドラインにおいて、プライバシー保護をどのように具体化するかを理解しているかを確認するものです。技術的な手段と倫理的配慮の両方が問われています。

正解の選択肢2は、個人を特定できないようにデータを匿名化・仮名化することで、情報漏洩が起きても直接的なプライバシー侵害を避ける取り組みを示しています。これにより、AIの学習にデータを活用しつつ、個々の利用者の権利を守ることができます。

選択肢1は、個人データを許可なく第三者に共有するという内容であり、プライバシー保護の観点から明らかに不適切です。法令違反や信頼の喪失につながります。選択肢3は、プライバシー保護を軽視してAIの性能だけを優先する姿勢を示しており、倫理ガイドラインが重視する「人間中心」の考え方に反します。

【解説】

正解: 3 技術の社会的影響を評価し公平性を確保する

この問題は、人工知能学会倫理指針に基づき、研究者や開発者がどのような行動を取るべきかを理解しているかを確認するものです。AI技術が社会に与える影響を意識できているかがポイントです。

正解の選択肢3は、開発したAI技術が社会にどのような影響を及ぼすかを評価し、特定の人や集団に不当な不利益が生じないよう公平性を確保するという内容で、指針の趣旨と合致しています。社会的影響を事前に検討することで、リスクを抑え、望ましい形で技術を普及させることができます。

選択肢1は、技術の影響を考慮せずに公開するという内容で、悪用や予期せぬ被害を招くおそれがあります。責任ある研究者の姿勢とは言えません。選択肢2は、AI技術の悪用を防止する仕組みを作らないとするもので、犯罪や差別的利用などのリスクに無防備な状態を容認してしまい、倫理指針に反します。

【解説】

正解: 1 AI開発における倫理的責任を共有する

この問題は、人工知能学会倫理指針が、AI開発に関わる人々にどのような姿勢を求めているかを理解しているかを確認するものです。個人ではなくコミュニティとして責任を持つことが問われています。

正解の選択肢1は、AI技術の研究・開発に携わるすべての関係者が倫理的責任を共有し、問題が起きないよう協力して取り組むべきだという考え方を示しています。個々の研究者だけでなく、組織や学会全体で責任を意識することで、より安全で信頼される技術開発が行いやすくなります。

選択肢2は、AIの透明性を軽視して開発スピードだけを優先するという内容で、短期的な成果を求めるあまり、社会的な信頼を失うリスクがあります。選択肢3は、利益を最優先とし安全性を後回しにする姿勢を示しており、事故や不正利用が発生した際の責任を問われる結果につながります。どちらも倫理指針が求める方向性とは逆です。

【解説】

正解: 1 AI技術の悪用防止に努める

この問題は、人工知能学会倫理指針において、AI研究者が具体的にどのような行動を取ることが推奨されているかを確認するものです。技術の「使われ方」にまで目を向けられているかがポイントです。

正解の選択肢1は、AI技術が差別、監視、犯罪などの不適切な目的に使われないよう、設計段階や公開方法に配慮し、悪用防止に努める姿勢を示しています。必要に応じて利用条件を明示したり、危険な用途を制限したりすることも含まれます。

選択肢2は、AIの開発目標を非公開にするという内容で、透明性を損ない、外部からの検証や建設的な議論を妨げます。倫理的に望ましい姿勢とは言えません。選択肢3は、AIが人間の福祉を損なっても問題視しないとするもので、人間中心であるべきAI開発の理念と真っ向から対立します。どちらも倫理指針が推奨する行動とは言えません。