【ITパスポート練習問題 6.3対応】20.ソリューションビジネス

【解説】

正解: 1 顧客の課題解決を支援すること

この問題は、「ソリューション」という言葉がビジネスの現場でどのような意味で使われているかを理解しているかを確認するものです。単なる製品販売とは異なり、顧客の課題やニーズに対してどのような価値を提供する考え方なのかを押さえることがポイントです。

ソリューションは、顧客が抱えている業務上の問題や経営課題を把握し、それを解決するための最適な組み合わせ（システム、サービス、運用方法など）を提案・提供する考え方です。そのため、「顧客の課題解決を支援すること」を目的とする選択肢1が、ソリューションの主な目的を最も適切に表しています。

選択肢2の「自社製品の販売を促進すること」は、営業活動の目的としてはよくあるものですが、ソリューションはあくまで顧客視点で課題解決を図ることが前提であり、自社製品の販売はその結果として付随するにすぎません。選択肢3の「競合他社の技術力を分析すること」は、自社の戦略立案やマーケティングの一環として重要な活動ではありますが、顧客へのソリューション提供そのものの目的とは異なります。

【解説】

正解: 3 自社の利益優先の姿勢

この問題は、ソリューション提供においてどのような姿勢や要素が重要になるかを理解しているかを確認するものです。顧客との関係性や技術力と、単なる売り手側の都合との違いを区別できているかがポイントです。

ソリューションビジネスでは、顧客の課題を正しく理解し、その解決に役立つ仕組みやサービスを提供することが求められます。そのためには、顧客が安心して相談できる「顧客との信頼関係」や、提案内容をきちんと実現するための「高度な技術力」が不可欠です。これらはソリューションを成功させるうえで重要な要素です。

一方、選択肢3の「自社の利益優先の姿勢」は、売り手側の都合を優先してしまい、顧客の課題解決よりも自社の売上や利益を重視するスタンスを示しています。このような姿勢では、顧客の信頼を得ることが難しく、長期的なソリューションビジネスの成功にもつながりません。そのため、ソリューション提供において重要でない要素として、選択肢3が正解となります。

【解説】

正解: 2 既存の課題を効果的に解決する必要がある場合

この問題は、どのような状況でソリューションが特に有効に機能するのかを理解しているかを確認するものです。ソリューションが「課題解決のための提案」であるという本質をイメージできているかがポイントです。

ソリューションは、顧客の業務やビジネスの中で既に認識されている課題に対して、それをどのように解決するかを具体的な仕組みやサービスとして提示するものです。したがって、「既存の課題を効果的に解決する必要がある場合」にソリューションの価値が最大限に発揮されます。このため、選択肢2が最も適切です。

選択肢1の「明確な課題がない場合」は、何を解決すべきかがはっきりしていないため、ソリューションを設計・提案しにくい状況です。まずは課題の発見や整理が優先されます。選択肢3の「システム化を行わない方針の場合」は、ITやシステムを活用した解決策を前提とするソリューションとはそもそも相性が悪く、適した場面とは言えません。

【解説】

正解: 2 複数のシステムを統合して最適化すること

この問題は、SI（システムインテグレーション）の目的を正しく理解しているかを確認するものです。個別のシステム開発や運用と、「インテグレーション（統合）」という観点の違いを押さえることがポイントです。

SIの主な目的は、企業内外に分散している複数のシステムや機器、ソフトウェアを、業務プロセスに合わせてつなぎ合わせ、全体として効率的に機能するように最適化することです。販売管理システムと在庫管理システムを連携させる、基幹系と周辺システムを統合する、といった取り組みが典型例であり、「複数のシステムを統合して最適化すること」を目的とする選択肢2が適切です。

選択肢1の「システム開発を外部委託すること」は、アウトソーシングの一形態であり、外部のベンダーに開発作業を任せるという手段を表していますが、SIの本来の目的そのものを説明しているわけではありません。選択肢3の「ソフトウェアのバグを修正すること」は保守作業の一部であり、SIプロジェクトの一要素になり得るものの、目的の中心は「統合と最適化」であるため、主な目的としては不適切です。

【解説】

正解: 3 IT製品の単純な販売

この問題は、SI（システムインテグレータ）の役割が「単なる物売り」とどう違うかを理解しているかを確認するものです。顧客の業務全体を見据えた提案・構築の役割をイメージできているかがポイントです。

SIの役割は、顧客の業務ニーズや課題を踏まえて、必要なシステム構成を設計し、ソフトウェアやハードウェア、ネットワークなどを適切に組み合わせて統合することです。そのため、「顧客の業務ニーズに基づいたシステム設計」や「異なるソフトウェアやハードウェアの統合」といった活動は、SIの中核的な役割に含まれます。

一方、選択肢3の「IT製品の単純な販売」は、カタログを見せて単体製品を売るようなスタイルを指しており、顧客の業務全体を設計・統合するSIの役割とは明確に異なります。システムとしての価値を提供するのではなく、製品そのものを販売することが目的になってしまうため、SIの主な役割としては不適切であり、この選択肢3が正解となります。

【解説】

正解: 1 プロジェクト管理とベンダー調整

この問題は、SIプロジェクトの実務上、何が特に重要視されるかを理解しているかを確認するものです。多くの関係者や製品が関わる中で、成功の鍵となる要素をイメージできているかがポイントです。

SIプロジェクトでは、ハードウェアベンダー、ソフトウェアベンダー、ネットワーク事業者など、複数の関係者が関わることが一般的です。そのため、全体の進捗や品質、コスト、スケジュールを管理する「プロジェクト管理」と、各ベンダーとの調整・折衝を行う「ベンダー調整」が非常に重要になります。これらが適切に行われることで、システム全体として整合性の取れた仕上がりになります。

選択肢2の「コスト削減のみに注力すること」は、一見重要に見えますが、コストだけに偏ると品質や納期が犠牲になる危険があります。SIでは、QCD（品質・コスト・納期）のバランスが重要です。選択肢3の「特定のメーカー製品の採用」は、場合によっては方針として選ばれることもありますが、それ自体がSIプロジェクトで特に重視されるべき要素ではなく、中立的な立場で最適な組み合わせを提案することが望まれる場面も多くあります。

【解説】

正解: 1 必要なリソースをオンデマンドで利用可能

この問題は、クラウドコンピューティングの基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。従来の「自社でサーバを購入・設置する形態」との違いを押さえられているかがポイントです。

クラウドコンピューティングでは、サーバやストレージ、ネットワークなどのITリソースを、インターネット経由で必要なときに必要な分だけ利用できます。これをオンデマンド利用と言い、利用状況に応じてスケールアップ・スケールダウンできる柔軟性が大きな特徴です。そのため、「必要なリソースをオンデマンドで利用可能」という選択肢1が正解です。

選択肢2の「自社で全てのIT資産を保有する必要がある」は、クラウドとは逆に、オンプレミスの特徴を表しています。クラウドでは、リソースをサービスとして借りるため、自社で設備をすべて保有する必要はありません。選択肢3の「インターネット接続は不要で利用可能」も誤りであり、多くのクラウドサービスはインターネットを通じて提供されるため、ネットワーク接続は前提条件となります。

【解説】

正解: 2 自動でセキュリティ対策が保証される

この問題は、クラウドサービスのメリットと限界を区別して理解しているかを確認するものです。特に、セキュリティに関する責任範囲を正しくイメージできているかがポイントです。

クラウドサービスのメリットとしては、自社でサーバを購入・設置しなくてもよいことから「初期投資を削減できる」ことや、負荷に応じてサーバ台数やリソース量を柔軟に増減できる「リソースの拡張が柔軟に行える」ことが挙げられます。これらはクラウド利用の代表的な利点であり、選択肢1と3はメリットとして適切です。

一方で、選択肢2の「自動でセキュリティ対策が保証される」は、クラウドに対する誤った期待を表しています。クラウド事業者側がインフラやプラットフォームのセキュリティ対策を講じているのは事実ですが、利用者側にもアカウント管理やアクセス権設定、アプリケーション側の対策など、多くの責任があります。「自動的にすべて安全になる」わけではないため、メリットとしては不適切であり、この選択肢2が正解となります。

【解説】

正解: 3 一時的に大規模な計算リソースが必要な場合

この問題は、クラウドコンピューティングが特に威力を発揮する利用シーンを理解しているかを確認するものです。リソースの「柔軟な増減」がどのような場面で有効かをイメージできているかがポイントです。

クラウドは、必要なときだけ大量のCPUやメモリ、ストレージを確保し、不要になれば即座に縮小できるという特性を持ちます。そのため、データ分析やシミュレーション、期間限定のキャンペーンサイトなど、「一時的に大規模な計算リソースが必要な場合」に特に向いています。高価なサーバを常時保有しなくてもよいため、コスト効率も高くなります。

選択肢1の「常に固定的なリソースを利用する場合」は、負荷がほぼ変動しないため、クラウドのスケーラビリティのメリットが生かしにくく、オンプレミスなど他の選択肢も検討対象になります。選択肢2の「特定地域でのみ利用するシステムの場合」は、ネットワーク遅延や法規制などの理由でローカル設置が望まれるケースもあり、クラウドの特長と直接結び付く場面とは言えません。

【解説】

正解: 1 ソフトウェアをインターネット経由で利用する

この問題は、SaaS（Software as a Service）の基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。従来の「購入してインストールするソフトウェア」との違いを押さえることがポイントです。

SaaSは、ソフトウェアをインターネット越しのサービスとして提供する形態であり、利用者はブラウザや専用クライアントを通じて機能を利用します。サーバやソフトウェアのインストール・保守はサービス提供者側が行うため、利用者はインターネット接続環境と契約さえあれば、すぐにサービスを使い始めることができます。この特徴を端的に表しているのが選択肢1です。

選択肢2の「サーバーハードウェアが必須である」は、むしろ従来のオンプレミス型の特徴です。SaaSでは利用者側がサーバを用意する必要はありません。選択肢3の「ソフトウェアを購入して永続的に利用する」は、パッケージソフトの買い切りライセンスの特徴であり、サブスクリプション課金が一般的なSaaSとは異なります。

【解説】

正解: 3 Microsoft Officeのパッケージ版

この問題は、具体的なサービス・製品名を通じてSaaSの例とそうでないものを区別できるかを確認するものです。クラウド経由で利用するサービスと、ローカルインストール型の違いを見分けることがポイントです。

GmailやSalesforceは、いずれもインターネット経由で提供されるサービスです。ユーザーはブラウザなどを通じてメールやCRM機能を利用し、ソフトウェアのインストールや更新はサービス提供者側が行います。これらはSaaSの典型的な例にあたります。

一方、選択肢3の「Microsoft Officeのパッケージ版」は、従来のようにCD/DVDやダウンロードによってソフトウェアを購入し、自分のPCにインストールして使う形態です。利用者の端末にソフトウェア本体が存在し、インターネット接続がなくても利用できる点で、SaaSとは異なります。そのため、SaaSの例として適切でない選択肢3が正解となります。

【解説】

正解: 1 必要な機能が頻繁にアップデートされる場合

この問題は、どのようなケースでSaaSの利用が特に有効になるかを理解しているかを確認するものです。ソフトウェアの更新や機能追加の観点から、SaaSの利点をイメージできているかがポイントです。

SaaSでは、ソフトウェアのバージョンアップや新機能の追加がサービス提供者側で一括して行われ、利用者は常に最新バージョンの機能を利用できます。頻繁に仕様変更が入る業務や、セキュリティや法令対応のためにこまめなアップデートが必要な業務において、SaaSは非常に相性が良い形態です。そのため、「必要な機能が頻繁にアップデートされる場合」に適しているという選択肢1が正解です。

選択肢2の「自社で独自にソフトウェアを開発する場合」は、むしろ自社開発システムやPaaS／IaaSの利用が主な検討対象になります。選択肢3の「ソフトウェアをオフラインで利用する場合」は、インターネット接続を前提とするSaaSとは相性が悪く、パッケージ版やオンプレミス型のほうが適しています。

【解説】

正解: 1 アプリケーション開発環境を提供する

この問題は、PaaS（Platform as a Service）の役割と特徴を理解しているかを確認するものです。インフラそのものを提供するIaaSや、完成したアプリケーションを提供するSaaSとの違いを押さえることがポイントです。

PaaSは、アプリケーション開発に必要なOS、ミドルウェア、開発ツール、データベースなどをまとめてプラットフォームとして提供するサービス形態です。開発者は環境構築やミドルウェアの設定に時間を取られることなく、すぐにアプリケーション開発に集中できるようになります。この特徴を簡潔に表しているのが選択肢1です。

選択肢2の「インフラ管理を利用者が行う」は、むしろIaaSに近い発想であり、PaaSではインフラ管理はサービス提供者側の責任です。選択肢3の「完全なハードウェア制御が可能である」は、物理サーバを自社で所有・運用するオンプレミスや、一部のIaaSに近いイメージであり、抽象度の高いレイヤーを提供するPaaSの特徴とは異なります。

【解説】

正解: 2 サーバーハードウェアの購入が必要な場合

この問題は、PaaSがどのような場面に向いているか、また向かないかを判断できるかを確認するものです。ハードウェアの扱いと、PaaSの提供内容の違いを理解しているかがポイントです。

PaaSは、アプリケーション開発や実行に必要なプラットフォームをサービスとして提供するため、利用者がサーバーハードウェアを購入・設置する必要はありません。カスタムアプリケーションの開発や、スケーラブルなWebサービス構築といった用途に向いており、選択肢1と3はPaaSが得意とするシーンにあたります。

一方、選択肢2の「サーバーハードウェアの購入が必要な場合」は、PaaSを使う前提とは矛盾します。自社でサーバを購入・設置するのであれば、オンプレミスやIaaSを検討するほうが自然であり、「PaaSが適用されるシーン」としては最適ではありません。そのため、この選択肢2が正解になります。

【解説】

正解: 3 開発環境の構築が不要

この問題は、PaaSを利用することで得られる具体的なメリットを理解しているかを確認するものです。開発者の観点から、どこに時間と労力を割かずに済むのかをイメージできているかがポイントです。

PaaSでは、OSやミドルウェア、開発フレームワーク、データベースなど、アプリケーション開発に必要な環境があらかじめ用意されています。そのため、利用者は自分で開発環境を一から構築・設定する必要がなく、すぐに開発やテストに着手できます。この「開発環境の構築が不要」であることが、PaaSの大きなメリットであり、選択肢3が正解です。

選択肢1の「利用者がすべてのリソースを制御可能」は、ハードウェアレベルまで自由に扱えるようなIaaSやオンプレミスの特徴に近く、PaaSでは抽象度の高いレイヤーが提供されるため、制御の自由度は限定されます。選択肢2の「サーバーハードウェアの高性能化が求められる」は、PaaSのメリットではなく、むしろサービス提供者側がインフラを適切に用意する範囲の話であり、利用者側のメリット説明としては不適切です。

【解説】

正解: 1 必要なリソースをオンデマンドで利用可能

この問題は、IaaS（Infrastructure as a Service）の基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。クラウドにおけるインフラ提供形態として、どのような利用ができるかを押さえることがポイントです。

IaaSは、仮想マシンやストレージ、ネットワークといったインフラレベルのリソースをサービスとして提供します。利用者は、必要なときに必要な量のリソースをオンデマンドで確保し、負荷に応じて柔軟に増減させることができます。このため、「必要なリソースをオンデマンドで利用可能」という選択肢1がIaaSの特徴として適切です。

選択肢2の「アプリケーション開発ツールを提供する」は、主にPaaSの特徴です。PaaSでは開発環境やミドルウェアがセットで提供されます。選択肢3の「インターネット接続は不要」は、クラウドサービス全般の前提と矛盾しており、IaaSを含む多くのクラウドサービスではインターネット接続が必要です。

【解説】

正解: 2 仮想マシンやストレージの提供

この問題は、IaaSがどのレイヤーのサービスを提供するのかを理解しているかを確認するものです。物理設備そのものの提供や、アプリケーションレベルの提供との違いを区別できているかがポイントです。

IaaSでは、仮想化技術を用いてサーバ（仮想マシン）、ストレージ、ネットワークといったインフラリソースを提供します。利用者はこれらの上にOSやミドルウェア、アプリケーションを自由に構築することができます。この内容を簡潔に表しているのが、選択肢2の「仮想マシンやストレージの提供」です。

選択肢1の「サーバーやネットワークの物理設備の提供」は、データセンター事業やハウジングに近い説明であり、IaaSのように仮想化されたインフラをサービスとして提供する形態とは異なります。選択肢3の「特定アプリケーションの使用権の提供」は、特定のアプリケーションをサービスとして利用するSaaSに近い説明であり、IaaSの特徴とは言えません。

【解説】

正解: 1 大量のデータを一時的に処理する必要がある場合

この問題は、どのようなケースでIaaSの利用が特に有効になるかを理解しているかを確認するものです。スケーラビリティと一時的な需要への対応という観点から判断できるかがポイントです。

IaaSでは、短期間だけ多くの仮想マシンや大容量ストレージを追加するといったことが容易で、一時的なバッチ処理やデータ分析、大規模計算などに必要なインフラを素早く用意できます。処理が終わればリソースを縮小できるため、「大量のデータを一時的に処理する必要がある場合」に非常に適しています。このため、選択肢1が正解です。

選択肢2の「特定業務のアプリケーションを利用する場合」は、すでに用意された業務アプリケーションを利用するイメージであり、SaaSを選択する場面が多くなります。選択肢3の「固定的な業務用システムを構築する場合」は、長期的かつ変動が少ない場合にはオンプレミスも有力な選択肢となり、IaaSのスケールメリットが必ずしも活かされるとは限りません。

【解説】

正解: 3 仮想デスクトップ環境を提供する

この問題は、DaaS（Desktop as a Service）の特徴を理解しているかを確認するものです。どのレイヤーをサービスとして提供しているのかをイメージできているかがポイントです。

DaaSは、デスクトップ環境そのものをクラウド上に用意し、ユーザーは自分の端末からネットワーク経由でその仮想デスクトップに接続して作業を行うサービスです。アプリケーションやデータはクラウド側にあり、ユーザーの端末は画面表示と操作のインターフェースとして機能します。この特徴を表しているのが「仮想デスクトップ環境を提供する」という選択肢3です。

選択肢1の「データはローカルデバイスに保存される」は、DaaSの考え方と逆であり、むしろデータをクラウド側に集約し、ローカル端末には残さないことでセキュリティを高めるのが一般的です。選択肢2の「サーバーハードウェアを直接購入する必要がある」は、オンプレミス運用に近いイメージであり、クラウドサービスとしてDaaSを利用する場合には当てはまりません。

【解説】

正解: 1 社員が多様なデバイスから安全に業務を行う必要がある場合

この問題は、DaaSがどのような利用シーンに適しているかを理解しているかを確認するものです。テレワークやマルチデバイス利用とセキュリティの両立という観点をイメージできているかがポイントです。

DaaSでは、デスクトップ環境とデータがクラウド側に集約されるため、社員は自宅のPCやタブレットなど、さまざまなデバイスから同じ業務環境にアクセスできます。データはクラウドに保存され、端末側には残りにくいため、端末紛失時のリスクも軽減できます。このように、「社員が多様なデバイスから安全に業務を行う必要がある場合」にDaaSは特に有効です。

選択肢2の「専用ソフトウェアをローカルインストールしたい場合」は、各端末にソフトをインストールして使う前提であり、仮想デスクトップに集約するDaaSのメリットが生かせません。選択肢3の「特定のハードウェアを固定的に使用する場合」も、特定端末に依存する運用であり、DaaSのマルチデバイス・柔軟なアクセスという利点とは方向性が異なります。

【解説】

正解: 3 データのローカル保存が促進される

この問題は、DaaS導入によるメリットを正しく理解し、それと逆行する内容を見抜けるかを確認するものです。特に、データ保存場所とセキュリティの関係を理解しているかがポイントです。

DaaSでは、デスクトップ環境や業務データはクラウド上の仮想環境に保存され、ユーザー端末には原則としてデータを残さない運用が推奨されます。これにより、端末の盗難・紛失時にもデータ漏洩リスクを減らすことができます。また、集中管理によりパッチ適用やアクセス制御が行いやすくなるため、「デスクトップ環境のセキュリティ向上」は大きなメリットです。さらに、物理端末側の性能要件が下がることで、「ハードウェア保守費用の削減」も期待できます。

選択肢3の「データのローカル保存が促進される」は、DaaSの方向性と真逆の内容です。DaaSではローカル保存を避け、クラウド側への一元管理を行うことが多いため、メリットとしては明らかに不適切であり、この選択肢3が正解となります。

【解説】

正解: 2 パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせる

この問題は、ハイブリッドクラウドという用語の定義を理解しているかを確認するものです。クラウドの構成パターンの違いを区別できているかがポイントです。

ハイブリッドクラウドは、一般にクラウド事業者が多数のユーザー向けに提供する「パブリッククラウド」と、特定組織専用に構築された「プライベートクラウド」を組み合わせて利用する形態です。機密性の高いデータはプライベート側に、スケールが必要な処理はパブリック側にといったように、特性に応じて使い分けることで、コストとセキュリティのバランスを取る狙いがあります。この説明に該当するのが選択肢2です。

選択肢1の「すべてのリソースをプライベートクラウドに限定する」は、プライベートクラウド単体の説明であり、ハイブリッドではありません。選択肢3の「複数のクラウドプロバイダーを活用する」は、異なる事業者のクラウドを組み合わせて利用するマルチクラウドの説明として用いられることが多く、ハイブリッドクラウドとは区別されます。

【解説】

正解: 3 高い専有性とカスタマイズ性

この問題は、パブリッククラウドの利点と、その性質から得にくい要素を区別できるかを確認するものです。共有リソースであることのメリット・デメリットを理解しているかがポイントです。

パブリッククラウドは、多数の利用者が同じクラウド基盤を共有して使う形態であり、事業者側が大規模な設備を効率よく運用することで、「初期投資の低さ」や「必要なときだけリソースを利用できる柔軟性」といったメリットを享受できます。選択肢1の初期投資の低さや、選択肢2のリソース共有による柔軟性は、パブリッククラウドの特徴と整合しています。

一方、共有基盤であるがゆえに、利用者ごとにハードウェアや基盤を完全に専用にすることは難しく、「高い専有性とカスタマイズ性」を求める場合には不利になります。これらはむしろプライベートクラウドやオンプレミスの利点に近く、パブリッククラウドの利点として挙げるのは不適切です。そのため、選択肢3が「利点として適切でないもの」として正解となります。

【解説】

正解: 3 冗長性を高めるため複数プロバイダーを利用する場合

この問題は、マルチクラウドの利用目的を理解しているかを確認するものです。複数のクラウド事業者を組み合わせる理由をイメージできているかがポイントです。

マルチクラウドは、複数のクラウドプロバイダーのサービスを組み合わせて利用する形態であり、一社に依存しないことで、障害時のリスク分散やサービス停止時の代替手段の確保など、冗長性を高める効果が期待できます。「冗長性を高めるため複数プロバイダーを利用する場合」という選択肢3は、この目的を端的に表しています。

選択肢1の「コストを最優先にして単一プロバイダーを利用する場合」は、むしろ一社に絞る前提であり、マルチクラウドとは逆の考え方です。選択肢2の「特定の業務に対して一種類のクラウドサービスを利用する場合」も、一つのクラウドに集中するイメージであり、複数プロバイダーを使い分けるマルチクラウドの特長には該当しません。

【解説】

正解: 2 ソフトウェアをインターネット経由で提供する

この問題は、ASP（Application Service Provider）の特徴を理解しているかを確認するものです。従来のオンプレミス型と、ネットワーク経由の提供形態の違いを押さえることがポイントです。

ASPは、事業者が自社のデータセンターなどでアプリケーションを稼働させ、ユーザーはインターネット回線などを通じてそのアプリケーションを利用する形態です。利用者側はアプリケーションを自社サーバにインストールする必要がなく、ブラウザや専用クライアント経由でサービスとして利用します。この特徴を表しているのが選択肢2です。

選択肢1の「ソフトウェアを顧客のサーバーにインストールして提供する」は、従来型のパッケージソフトやオンプレミス提供の説明に近く、ASPの特徴ではありません。選択肢3の「必要な機能を購入して永続的に利用する」は、買い切りライセンスのイメージであり、利用期間に応じた課金が一般的なASPの考え方とは異なります。

【解説】

正解: 2 自社専用のカスタマイズが容易

この問題は、ASPのメリットと限界を理解しているかを確認するものです。標準化されたサービスとしての性質をきちんと把握しているかがポイントです。

ASPは、サービス提供者が用意したアプリケーションを、複数の顧客が共通の仕組みとして利用するケースが多く、利用者は導入時の初期投資を抑えつつ、必要最低限の機能をすぐに使えるというメリットがあります。また、契約内容に応じて機能を追加したり、利用ユーザー数を増減したりできる「必要に応じて機能を追加できる柔軟性」も利点の一つです。

一方で、選択肢2の「自社専用のカスタマイズが容易」は、ASPの性質とズレがあります。多くの顧客で共用されるサービスであるため、大規模な自社専用カスタマイズはコストや運用面で難しいことが多く、標準機能の範囲で使うことが前提になりがちです。そのため、ASPの「主なメリット」としては適切ではなく、この選択肢2が正解となります。

【解説】

正解: 1 中小企業が特定の業務を効率化したい場合

この問題は、ASPの利用がどのような状況に適しているかを理解しているかを確認するものです。コストと機能のバランスを考えたときのASPの位置づけをイメージできているかがポイントです。

ASPは、給与計算、経費精算、問い合わせ管理など、特定の業務に特化したアプリケーションをインターネット経由で提供することが多く、サーバやソフトウェアを自前で準備することが難しい中小企業にとって、低コストで業務を効率化できる手段となります。よって、「中小企業が特定の業務を効率化したい場合」にASP利用は特に適しています。

選択肢2の「セキュリティ要件が非常に高いシステムを構築したい場合」は、標準的なASPサービスでは要件を満たしにくいことも多く、専用環境やオンプレミスのほうが検討対象になります。選択肢3の「システム全体を自社で完全管理したい場合」も、管理を外部に委ねるASPとは方向性が逆であり、ASP利用に適したケースとは言えません。

【解説】

正解: 3 業務の専門性を活用できる

この問題は、アウトソーシングのメリットを理解しているかを確認するものです。外部の力を活用することで何が得られるのかをイメージできているかがポイントです。

アウトソーシングでは、自社で対応しきれない業務や、自社内にノウハウが少ない分野について、専門の外部業者に業務を委託します。これにより、その分野に特化した知識やノウハウ、効率的なプロセスを活用できるため、「業務の専門性を活用できる」ことが大きなメリットとなります。したがって、選択肢3が正解です。

選択肢1の「社内の業務量が増える」は、アウトソーシングのメリットとは正反対であり、委託によって社内の負荷を軽減することが期待されます。選択肢2の「全ての業務を自社内で管理できる」は、むしろアウトソーシングを行わない状態の説明であり、外部に業務を委託する考え方とは一致しません。

【解説】

正解: 1 セキュリティ要件が高い業務

この問題は、どのような業務がアウトソーシングに向かないかを判断できるかを確認するものです。特に、情報の機密性やセキュリティ要件の高さを考慮できているかがポイントです。

セキュリティ要件が高い業務、たとえば機微な個人情報や重要な機密情報を扱う業務では、情報漏洩時の影響が大きいため、外部事業者に業務を委託することが難しい場合があります。このような業務は、自社内で厳格な管理のもと運用することが望ましく、「アウトソーシングが適していない業務」と言えます。そのため、選択肢1が正解です。

選択肢2の「一時的な業務負荷の軽減」は、繁忙期だけコールセンターやバックオフィス業務を委託するなど、アウトソーシングがよく使われるケースです。選択肢3の「特定分野における専門スキルの必要な業務」も、専門性の高い外部業者のノウハウを活用するという点で、アウトソーシングが適している典型例となります。

【解説】

正解: 1 委託先との契約内容と管理体制の構築

この問題は、アウトソーシングを行う際にどのような点に注意すべきかを理解しているかを確認するものです。外部に任せるからこそ重要になる管理の視点を持てているかがポイントです。

アウトソーシングでは、業務の一部を外部委託するものの、最終的な責任は自社側に残ります。そのため、委託先との間で業務範囲や品質基準、納期、セキュリティ要件、守秘義務などを明確に定めた契約を結び、進捗や品質を定期的に確認する管理体制を構築することが重要です。このような「契約内容と管理体制の構築」が、アウトソーシングで注意すべきポイントであり、選択肢1が正解です。

選択肢2の「自社の業務を全て放棄すること」は、責任放棄につながり、業務品質やコンプライアンス面で大きな問題を招きかねません。選択肢3の「外部委託後は成果物をチェックしないこと」も、委託先任せにしてしまう危険な姿勢であり、品質保証やリスク管理の観点から明らかに不適切です。

【解説】

正解: 2 サーバやリソースをサービス提供者が提供する

この問題は、ホスティングサービスの基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。自社でサーバを持つ場合との違いをイメージできているかがポイントです。

ホスティングサービスでは、サービス提供者側がサーバ機器やネットワーク環境、電源設備、回線などのインフラを用意し、利用者はその上でWebサイトやメールなどのサービスを運用します。利用者はサーバ機器を自分で購入・設置する必要がなく、「サーバやリソースをサービス提供者が提供する」という形態が特徴です。したがって、選択肢2が適切です。

選択肢1の「サーバの物理的な設置と管理を顧客が行う」は、自社でサーバを保有するオンプレミス運用に近い説明であり、ホスティングサービスの特徴とは逆です。選択肢3の「データの保存先を完全に顧客が決定する」は、提供形態によってはある程度指定できる場合もありますが、「主な特徴」としては過大な表現であり、ホスティングサービスの本質的な説明とは言えません。

【解説】

正解: 2 高度なセキュリティと完全なカスタマイズが必要な場合

この問題は、ホスティングサービスが向いていないケースを理解しているかを確認するものです。共有リソースを利用することの限界をイメージできているかがポイントです。

ホスティングサービスでは、複数の利用者が同じ物理サーバやネットワーク環境を共有する形態が一般的であり、低コストで素早く環境を用意できるというメリットがあります。そのため、小規模なWebサイトを短期間で公開したい場合や、スタートアップ企業が低コストでサーバを使いたい場合などには適しています。

一方で、「高度なセキュリティと完全なカスタマイズ」が求められるシステムでは、共有環境では対応しきれない要件が出てくることが多くなります。専用サーバやプライベートクラウド、オンプレミスなど、より専有性の高い形態を検討するほうが適切です。そのため、ホスティングサービスの利用が適さないケースとして、選択肢2が正解となります。

【解説】

正解: 1 自社でサーバを保守する必要がない

この問題は、ホスティングサービスを利用することで得られるメリットを理解しているかを確認するものです。自社で行うべき作業がどこまで減るのかをイメージできているかがポイントです。

ホスティングサービスでは、サーバ機器の設置、ハードウェアの故障対応、ネットワークや電源設備の維持などをサービス提供者側が担います。利用者は、サーバ本体の保守を自社で行う必要がなく、アプリケーションの運用やコンテンツの更新などに集中することができます。この「自社でサーバを保守する必要がない」という点が大きなメリットであり、選択肢1が正解です。

選択肢2の「ハードウェアの購入が必須である」は、ホスティングサービスの利点と逆であり、利用者はサーバを購入しなくてもサービス提供者のサーバを利用できます。選択肢3の「サービス提供者の管理外での自由な変更が可能」は、共有環境での安全性や安定性を損なうおそれがあり、実際には多くの制約が設けられます。したがって、メリットとしては不適切です。

【解説】

正解: 2 利用者が所有するサーバをデータセンターに設置する

この問題は、ハウジングサービスの特徴を理解しているかを確認するものです。ホスティングとの違い、すなわち「サーバを誰が所有するか」に着目できているかがポイントです。

ハウジングサービスでは、サーバ機器そのものは利用者が所有し、そのサーバをデータセンターに持ち込んで設置してもらいます。データセンター側は、電源、空調、ネットワーク回線、物理セキュリティなどの設備を提供し、サーバを安定した環境で稼働させます。「利用者が所有するサーバをデータセンターに設置する」という選択肢2が、この特徴を正しく表しています。

選択肢1の「サーバ機器はサービス提供者が用意する」は、ホスティングサービスやIaaSに近い説明であり、ハウジングとは異なります。選択肢3の「利用者がデータセンターを構築する」は、自社でデータセンターを持つケースを指しており、外部のデータセンターを利用するハウジングサービスの説明ではありません。

【解説】

正解: 3 既に高性能なデータセンターを所有している場合

この問題は、どのような状況でハウジングサービスの利用が不要、あるいは適さないかを理解しているかを確認するものです。既に持っている設備との関係を考えられるかがポイントです。

ハウジングサービスは、自社でデータセンター環境を用意する代わりに、外部のデータセンターに自社サーバを設置してもらう形態です。そのため、データセンター環境を持たない企業や、自社オフィスでは十分な電源・空調・セキュリティを確保できない企業にとって、有力な選択肢となります。

一方、選択肢3のように「既に高性能なデータセンターを所有している場合」は、自前で信頼性の高い設置環境を持っているため、わざわざ外部に設置場所を委託する必要性は低くなります。この場合、ハウジングサービスを利用するメリットは小さいと考えられ、「利用が適さないケース」として選択肢3が正解となります。

【解説】

正解: 1 設置環境の高い信頼性

この問題は、ハウジングサービスを利用することで得られるメリットを理解しているかを確認するものです。データセンター環境の強みをイメージできているかがポイントです。

ハウジングサービスで利用するデータセンターは、耐震性に優れた建物、冗長化された電源設備や空調、厳格な入退室管理などを備えており、サーバの安定稼働に適した環境が整えられています。自社オフィスにサーバを置くよりも障害発生リスクが低く、その「設置環境の高い信頼性」が大きなメリットです。したがって、選択肢1が正解です。

選択肢2の「完全に自由な物理的アクセス」は、実際にはセキュリティ確保のために入退室が厳しく制限されることが多く、自由に出入りできるわけではありません。選択肢3の「初期コストがほぼゼロになる」も、自社でサーバ機器を用意する必要があるため、機器購入や持ち込みのコストが発生し、「ほぼゼロ」と表現するのは不適切です。

【解説】

正解: 2 自社内でシステムを設置・運用する

この問題は、オンプレミスの基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。クラウドや外部サービスとの対比で捉えられているかがポイントです。

オンプレミスとは、企業が自社の建物やデータセンター内にサーバやネットワーク機器を設置し、その上でシステムを構築・運用する形態です。機器の選定から設置、運用・保守までを自社主導で行うことが多く、「自社内でシステムを設置・運用する」という選択肢2がその特徴を端的に表しています。

選択肢1の「システムが外部プロバイダーによって管理される」は、クラウドサービスやマネージドサービスに近い説明であり、オンプレミスとは逆の特徴です。選択肢3の「全ての機能がインターネット経由で提供される」は、SaaSなどのクラウドサービスのイメージであり、オンプレミスの特徴ではありません。

【解説】

正解: 3 初期コストが非常に低い

この問題は、オンプレミスの利点と欠点を区別して理解しているかを確認するものです。特に、コスト構造の違いをイメージできているかがポイントです。

オンプレミスでは、自社でサーバやネットワーク機器、ストレージ、ソフトウェアライセンスなどを購入し、設置・構築する必要があります。その分、初期投資は大きくなりがちで、「初期コストが非常に低い」とは言えません。一方で、自社の要件に合わせて細かくシステムを作り込めるため「高いカスタマイズ性」があり、外部サービスに依存しない形で「外部に依存しない運用管理」が可能である点はオンプレミスの利点です。

したがって、「オンプレミスの利点として適切でないもの」を問うこの問題では、初期投資の実態と逆の内容を述べている選択肢3が正解となります。

【解説】

正解: 2 機密性の高いデータを管理する必要がある場合

この問題は、どのようなケースでオンプレミスが特に適しているかを理解しているかを確認するものです。データの機密性やセキュリティ要件の高さと、運用形態の選択を結び付けられるかがポイントです。

機密性の高いデータ（顧客情報、機密図面、重要な社内文書など）を扱う場合、外部のクラウド環境に預けることに慎重にならざるを得ないことがあります。オンプレミスであれば、自社のセキュリティポリシーに基づき、物理的なアクセス制御やネットワーク構成、ログ管理などをきめ細かく設計できるため、高いレベルの統制を行いやすくなります。そのため、「機密性の高いデータを管理する必要がある場合」にオンプレミスは適しています。

選択肢1の「短期間で柔軟にリソースを変更したい場合」は、リソースの増減が容易なクラウドサービスのほうが適しているケースが多くなります。選択肢3の「外部委託による運用負担を減らしたい場合」は、運用・管理をサービス提供者に任せるマネージドサービスやクラウドの利用が一般的であり、オンプレミスの方向性とは異なります。

【解説】

正解: 1 サービス提供者が運用・管理を行う

この問題は、マネージドサービスの特徴を理解しているかを確認するものです。単にインフラを借りるだけの形態との違いを意識できているかがポイントです。

マネージドサービスでは、サーバやネットワーク機器、OS、場合によってはミドルウェアやバックアップなどの運用・管理をサービス提供者が代行します。利用者は、インフラや基盤の詳細な管理から解放され、アプリケーションや業務に集中できるようになります。この「サービス提供者が運用・管理を行う」という点が、マネージドサービスの核心であり、選択肢1が正解です。

選択肢2の「全てのIT資産を自社で管理する」は、オンプレミスなど自社主導の運用形態を表しており、マネージドサービスとは逆の特徴です。選択肢3の「システムの設計と構築のみを提供する」は、SIのプロジェクト型の仕事に近く、継続的な運用・管理を含まない点でマネージドサービスとは異なります。

【解説】

正解: 3 完全に自社で運用をコントロールできる

この問題は、マネージドサービス導入による利点と、その反対に位置する要素を区別できるかを確認するものです。運用負荷とコントロール範囲のトレードオフを理解しているかがポイントです。

マネージドサービスを利用すると、日々の監視、バックアップ、障害対応、パッチ適用などの運用業務を専門の事業者に任せることができます。その結果、「IT運用にかかる負担を軽減できる」ことや、「専門家による高度な管理を受けられる」ことが大きなメリットとなります。自社に十分な運用ノウハウや人員がいない場合でも、一定水準以上の運用を実現しやすくなります。

一方で、運用を外部に委託する分、すべてを自社の裁量だけで即座に変更したり、細部まで自由にコントロールしたりすることは難しくなります。そのため、「完全に自社で運用をコントロールできる」という選択肢3は、マネージドサービスの特徴や利点とは逆の内容であり、「利点として適切でないもの」として正解となります。

【解説】

正解: 2 IT運用の専門知識が不足している場合

この問題は、どのような状況でマネージドサービスの利用が特に有効になるかを理解しているかを確認するものです。自社のリソース状況とサービス形態の選択を結び付けられるかがポイントです。

自社にIT運用の専門知識や経験を持つ人材が十分にいない場合、自社だけでシステムの監視やバックアップ、障害対応を行うのは負担が大きく、リスクも高くなります。マネージドサービスを利用すれば、運用の多くを専門事業者に任せることができ、限られた社内リソースでも安定した運用を実現しやすくなります。そのため、「IT運用の専門知識が不足している場合」にマネージドサービスは最適と言え、選択肢2が正解です。

選択肢1の「システムの全てを自社で完全に管理したい場合」は、運用の自由度やコントロールを重視するケースであり、オンプレミスや自社運用が向いています。選択肢3の「一時的にサーバリソースを利用したい場合」は、短期間だけインフラを増やしたい場面であり、IaaSなどのクラウドサービスを使うほうが一般的です。