【ITパスポート練習問題 6.3対応】(2) 業務改善及び問題解決

【解説】

正解: 2 業務の効率化や品質向上

この問題は、企業が業務改善を行う根本的な理由やゴールを正しく理解しているかを確認するものです。

正解は「業務の効率化や品質向上」です。業務改善とは、現状の仕事のやり方を見直し、より少ない労力やコストで成果を出せるようにしたり（効率化）、ミスを減らして成果物の質を高めたり（品質向上）することを目的としています。

選択肢1の「システム導入による全業務の自動化」は、改善のための「手段」の一つに過ぎず、すべての業務を自動化することが目的ではありません。コスト対効果が合わない場合もあるため不適切です。選択肢3の「全従業員の作業内容を統一化すること」も手段の一つ（標準化）ですが、統一化自体が最終目的ではなく、それによって効率や品質を高めることが本来の目的です。

【解説】

正解: 1 RPA

この問題は、業務効率化のために用いられるIT用語やツールの役割を正しく区別できるかを問うものです。

RPA（Robotic Process Automation）は、人間がパソコン上で行う定型的な操作（入力、転記、照合など）を、ソフトウェアロボットによって自動化する技術やツールのことです。業務改善、特に事務作業の効率化手法として広く利用されています。

選択肢2のERP（Enterprise Resource Planning）は「企業資源計画」と呼ばれ、会計・人事・生産・販売などの基幹業務を統合的に管理するシステムのことで、業務自動化ツールそのものを指す言葉ではありません。選択肢3のDNS（Domain Name System）は、インターネット上のドメイン名とIPアドレスを対応付ける仕組みであり、業務改善の手法とは関係ありません。

【解説】

正解: 2 PDCAサイクル

この問題は、業務改善を継続的に進めるための基本的なフレームワーク（枠組み）を知っているかを確認するものです。

PDCAサイクルは、Plan（計画）、Do（実行）、Check（評価）、Act（改善）の4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に良くしていく手法です。業務改善活動において最も基本的かつ重要なサイクルとして知られています。

選択肢1のOODA（ウーダ）サイクルは、Observe（観察）、Orient（状況判断）、Decide（意思決定）、Act（行動）の略で、迅速な状況判断と行動が求められる場面で重視される意思決定プロセスです。選択肢3のCAEサイクルという用語は一般的ではありませんが、CAE（Computer Aided Engineering）であれば、製品設計のシミュレーション支援を指すため、業務改善サイクルとは異なります。

【解説】

正解: 1 問題の特定

この問題は、論理的な問題解決プロセスの順序を理解しているかを問うものです。

問題解決を行う際、最初に行うべきステップは「問題の特定」です。「何が問題なのか」「現状はどうなっているのか」を正確に把握しなければ、有効な対策を立てることはできません。現状とあるべき姿のギャップを明確にすることがスタートラインとなります。

選択肢2の「解決策の選定」や、選択肢3の「解決の効果測定」は、問題が特定され、原因が分析された後に行うプロセスです。何が問題かわからない状態で解決策を選んだり効果を測ったりすることはできないため、これらは最初のステップではありません。

【解説】

正解: 3 PERT図

この問題は、さまざまな図法や手法の「用途」を正しく理解しているかを確認するものです。特に、問題解決のための分析手法と、プロジェクト管理のための手法の違いが問われています。

PERT図（アローダイアグラム）は、作業の順序や所要時間を矢印で結び、プロジェクト全体のスケジュールやクリティカルパス（最長経路）を管理するための図法です。これは日程管理の手法であり、問題の原因究明や解決策の検討といった「問題解決」そのものを主目的とする手法ではないため、不適切なものとして正解になります。

選択肢1のブレーンストーミングは、多人数で自由に意見を出し合い、アイデアを創出するための代表的な問題解決手法です。選択肢2の特性要因図は、問題（結果）とそれに対する要因（原因）の関係を整理し、根本原因を探るための手法であり、これも問題解決に適しています。

【解説】

正解: 2 原因と結果の関連分析

この問題は、QC七つ道具の一つである「特性要因図」が何のために使われる図なのか、その定義と役割を理解しているかを問うものです。

特性要因図は、魚の骨のような形状をしていることからフィッシュボーンチャートとも呼ばれます。解決したい問題（結果）に対して、どのような要因（原因）が影響しているかを体系的に整理し、「原因と結果の関連」を分析するために用いられます。

選択肢1の「解決策の選定」は、決定マトリックスなどを用いて複数の案から最適なものを選ぶフェーズであり、特性要因図の直接の目的ではありません。選択肢3の「データ可視化」は、グラフやチャート全般を指す言葉であり、特性要因図固有の目的（因果関係の整理）としては具体性に欠けます。

【解説】

正解: 3 定型的な業務の自動化

この問題は、RPA（Robotic Process Automation）が得意とする領域と、その技術的な特徴を正しく理解しているかを確認するものです。

RPAの最大の特徴は「定型的な業務の自動化」です。あらかじめ決められたルールや手順に従って、パソコン上のアプリケーションを操作したり、データを入力したりする作業を人間に代わって高速かつ正確に処理します。

選択肢1の「自律的な意思決定能力を持つ」は、AI（人工知能）の特徴です。一般的なRPAはルール通りの処理しか行えず、自ら考えて判断することはできません。選択肢2の「ハードウェアを制御する能力」は、組込みシステムやデバイスドライバなどの役割であり、RPAは主に画面上のソフトウェア操作を対象とします。

【解説】

正解: 2 創造性が求められる業務

この問題は、RPAの限界や苦手とする分野を理解しているか、つまり「何ができて何ができないか」を判別できるかを問うものです。

RPAは決められたルールを忠実に繰り返すことは得意ですが、自ら考えたり、新しいアイデアを出したりすることはできません。そのため、企画立案やデザインなど「創造性が求められる業務」はRPAの適用には適さず、人間が行うべき業務となります。

選択肢1の「データ入力業務」や、選択肢3の「書類の仕分け業務」は、手順が明確でルール化しやすいため、RPA導入によって大きな効果が期待できる代表的な業務です。

【解説】

正解: 3 AIの導入による意思決定能力の向上

この問題は、RPA導入によって得られる直接的なメリット（効果）を正しく理解しているかを確認するものです。

RPAは「手作業を代行するロボット」であり、それ自体は意思決定を行いません。そのため、「AIの導入による意思決定能力の向上」という記述は、RPAの導入効果としては不適切です。RPAとAIを連携させるケースはありますが、RPA単体の効果として意思決定能力が上がるわけではありません。

選択肢1の「作業効率の向上」は、ロボットが高速に処理を行うことで実現されるRPAの主要なメリットです。選択肢2の「人的ミスの減少」も、ロボットがプログラム通りに正確に動作することで、入力ミスや見落としを防げるため、正しい導入効果です。