【ITパスポート練習問題 6.3対応】(1) 企業活動と経営資源 – 2

【解説】

正解: 2 情報公開による透明性の確保

この問題は、企業経営における「ディスクロージャー（情報開示）」の基本的な定義と役割を問うています。企業が社会の一員として活動する上で、情報を隠すのではなく、オープンにすることが求められている背景を理解しているかがポイントです。

正解である選択肢2は、ディスクロージャーの本質を突いています。企業が経営内容や財務状況を外部に公開することで、投資家や取引先などのステークホルダ（利害関係者）は企業の状況を正しく把握でき、それが信頼や公正な取引につながります。

選択肢1の「情報の秘匿」は、ディスクロージャー（Disclosure＝開く、暴露する）の対義語であり、全く逆の概念なので間違いです。
選択肢3の「内部統制システムの強化」は、社内のルールや管理体制を整える「コーポレートガバナンス」の一環ではありますが、ディスクロージャーそのものの目的（外部への発信）とは異なるため間違いです。

【解説】

正解: 1 財務報告書

この問題は、企業が「公にすべき情報」と「保護すべき情報」の区別がついているかを確認しています。ディスクロージャーは投資家の判断材料を提供するための制度であることを想起しましょう。

正解である選択肢1の財務報告書は、企業の売上や利益、資産状況を示すもので、投資家が投資判断を行うために最も重要な「公開すべき情報」です。これを適切に開示することが法的に求められています。

選択肢2の「市場調査データ」は、企業が戦略を立てるために集めた内部資料であり、競争上の秘密も含まれるため、通常は義務的な開示対象ではありません。
選択肢3の「従業員の個人情報」は、個人情報保護法によって厳重に守られるべき情報です。公開することはプライバシーの侵害にあたるため、ディスクロージャーの対象として不適切であり、間違いです。

【解説】

正解: 3 有価証券報告書の提出

この問題は、企業の「自主的な広報活動（IR）」と「法律で決まっている義務（法定開示）」の違いを理解しているかを問うています。上場企業には金融商品取引法などの法律により、厳しい開示義務が課せられています。

正解である選択肢3の有価証券報告書は、上場企業等が毎事業年度終了後に内閣総理大臣（金融庁）へ提出することを法律で義務付けられている書類です。投資家保護のために、企業の詳細な情報を公文書として残す必要があります。

選択肢1の「社員の給与明細」は個人のプライバシーに関わるため、一般公開の義務はありません（役員報酬の総額などが公開されることはあります）。
選択肢2の「利益配当予測」は、投資家向けに自主的に発表されることは一般的ですが、あくまで「予測」であり、法令で必ず提出・通知しなければならない義務として規定されているものではないため、正解ではありません。

【解説】

正解: 2 財務情報の適正性と透明性の確認

この問題は、なぜ企業活動において「監査」が必要なのか、その根本的な理由を問うています。企業が自分で作成した報告書が本当に正しいかどうかは、第三者がチェックしないと信用されないという点を理解しているかが鍵です。

正解である選択肢2は、監査の役割を正しく説明しています。企業が作成した財務諸表に嘘や誤りがないかを独立した立場の専門家がチェック（監査）することで、情報の信頼性が保証され、投資家が安心して利用できるようになります。

選択肢1は誤りです。監査を受けたからといって開示義務が減るわけではなく、むしろ義務を正しく果たしているかをチェックする行為です。
選択肢3の「税務調査」は税務署が行うものであり、企業監査（会計監査）とは目的が異なります。会計監査は投資家保護が主目的であり、税金計算の簡略化のために行うものではないため間違いです。

【解説】

正解: 3 公認会計士による財務諸表の審査

この問題は、「誰が」監査を行うかによって分類される「内部監査」と「外部監査」の違いを問うています。外部監査のキーワードは「独立した第三者」です。

正解である選択肢3は、企業と利害関係のない外部の専門家である「公認会計士（または監査法人）」が行うため、外部監査の典型的な例です。客観的な視点で財務諸表をチェックします。

選択肢1の株主総会は、会社の最高意思決定機関ですが、監査機関ではありません。
選択肢2は「経営陣」や「社内の人間」が行う評価であるため、これは「内部監査」や「内部統制」に該当し、外部監査ではないため間違いです。

【解説】

正解: 2 社内の専門部署が監査を行う

この問題は、内部監査の実施主体と目的を理解しているかを確認するものです。外部監査が「法律と投資家のため」であるのに対し、内部監査は「経営者のため（業務改善・不正防止）」に行われるという性質の違いがポイントです。

正解である選択肢2にある通り、内部監査は社長直轄の監査室など、社内の組織によって行われます。自分たちの業務がルール通りに行われているか、無駄がないかをチェックし、組織の健全化を図ります。

選択肢1は誤りです。一部の大企業等を除き、内部監査の設置は基本的に企業の自主的な判断（経営管理の一環）であり、全ての企業に法的義務があるわけではありません。
選択肢3の「第三者機関」による審査は、外部監査の定義そのものですので、内部監査の説明としては間違いです。

【解説】

正解: 1 エネルギー消費の削減

この問題は、IT用語における「グリーン」が何を指しているかを問うています。「グリーン＝環境保護・エコ」というイメージをITに結びつけられるかがポイントです。

正解である選択肢1の通り、グリーンITはPCやサーバーの省エネ化、またはIT技術を使って社会全体のエネルギー消費を減らす活動を指します。地球温暖化対策などの環境保護が最大の目的です。

選択肢2の「高速化」は性能向上の話であり、選択肢3の「データベースの保護」はセキュリティの話です。これらもITの重要な課題ですが、「グリーン（環境）」という言葉の定義とは直接関係がないため間違いです。

【解説】

正解: 2 ペーパーレス化の推進

この問題は、グリーンITが具体的にどのようなアクションを指すのか、実務的な理解を問うています。「環境負荷を減らす行動」を選びましょう。

正解である選択肢2のペーパーレス化は、紙の製造や廃棄にかかる資源とエネルギーを削減できるため、IT技術を活用した環境保護活動（グリーンIT）の代表例です。

選択肢1の「暗号化」は情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策です。
選択肢3の「データ圧縮」は保存容量の節約や通信速度の向上が目的です。結果的にわずかな省エネになる場合もありますが、主目的は効率化であり、環境保護を主眼としたペーパーレス化に比べるとグリーンITの例としては不適切です。

【解説】

正解: 3 IT機器の寿命の短縮

この問題は、グリーンITのメリットと誤解を区別できるかを確認しています。省エネ活動が機器に悪影響を与えるわけではないことを理解しましょう。

正解である選択肢3は誤った記述です。グリーンITでは、発熱を抑える設計や効率的な利用を行うため、むしろ機器への負担が減り、寿命が延びることはあっても「短縮」することはありません。したがって、これが正解（誤っている記述）となります。

選択肢1「環境負荷の軽減」はグリーンITの目的そのものです。
選択肢2「運用コストの削減」も正しい効果です。消費電力が下がれば電気代（ランニングコスト）が下がるため、環境だけでなく経営にもメリットがあります。

【解説】

正解: 2 製品の温室効果ガス排出量

この問題は、環境用語「カーボンフットプリント（CFP）」の定義を問うています。カーボン（炭素）のフットプリント（足跡）という言葉から、「CO2をどれだけ排出したかの痕跡」という意味を連想できるかが鍵です。

正解である選択肢2は正しい定義です。原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るまでの全工程で排出された温室効果ガスをCO2量に換算して表示する仕組みです。

選択肢1の「エネルギー消費量」も関連はしますが、CFPはあくまで「ガスの排出量（環境への影響）」を指す指標です。
選択肢3の「価格変動」は経済指標であり、環境用語であるカーボンフットプリントとは全く関係がないため間違いです。

【解説】

正解: 1 二酸化炭素排出量の表示

この問題は、カーボンフットプリントを導入することで、消費者に何を伝えようとしているのか（見える化）を問うています。

正解である選択肢1は、カーボンフットプリントの核心です。商品パッケージなどに「この製品を作るのにこれだけのCO2が出ました」と数値（gやkg）で表示することで、消費者が環境に優しい商品を選べるようにすることが活用の目的です。

選択肢2や3は、一般的なマーケティング活動です。これらを行う過程で環境配慮をアピールすることはありますが、カーボンフットプリントという仕組み自体の活用例としては、「排出量の表示」という直接的なアクションではないため不適切です。

【解説】

正解: 2 顧客の購入履歴

この問題は、カーボンフットプリントが評価する「ライフサイクル（製品の一生）」の範囲を理解しているかを問うています。評価対象は「モノの流れ」であり、「人の行動データ」ではない点がポイントです。

正解である選択肢2の「購入履歴」は、誰がいつ買ったかというマーケティングデータです。製品そのものが排出するガスとは無関係なので、評価対象には含まれません。

選択肢1の「輸送段階」ではトラック等がCO2を出しますし、選択肢3の「廃棄プロセス」でも焼却などでCO2が出ます。カーボンフットプリントは「原材料調達→製造→流通→使用→廃棄」という製品の全生涯（ライフサイクル）を計算に入れるため、これらは評価対象に含まれます。

【解説】

正解: 3 持続可能な開発の促進

この問題は、SDGs（Sustainable Development Goals）の基本概念を問うています。名称そのものである「Sustainable（持続可能な）」の意味を理解しているかが最も重要です。

正解である選択肢3は、SDGsの直訳かつ目的そのものです。「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」を目指し、環境・社会・経済のバランスを取ることを目的としています。

選択肢1の「短期的な利益」は、持続可能性（長期的な視点）と対立する概念なので間違いです。
選択肢2の「地域限定」も誤りです。SDGsのスローガンは「誰一人取り残さない」であり、先進国・途上国を問わず地球規模で取り組む目標ですので、限定的なものではありません。

【解説】

正解: 2 世界遺産の増設

この問題は、SDGsの17の目標（ゴール）の大まかな内容を知っているかを確認しています。SDGsは、貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー、エネルギー、環境などの社会課題解決を目指すものです。

正解である選択肢2「世界遺産の増設」という具体的な目標は、SDGsの17のゴールには含まれていません（文化遺産の保護に関連するターゲットは存在しますが、遺産を「増やす」こと自体はSDGsの主目的ではありません）。

選択肢1「気候変動への対策」はゴール13、選択肢3「貧困の撲滅」はゴール1に該当し、これらはSDGsの代表的な目標ですので、間違いの選択肢となります。

【解説】

正解: 2 環境に配慮した製品の開発

この問題は、企業がSDGsに取り組むとはどういうことか、具体的なビジネスアクションをイメージできるかを問うています。単なる金儲けではなく、社会課題の解決をビジネスに組み込む視点が求められます。

正解である選択肢2は、ゴール12「つくる責任 つかう責任」やゴール13「気候変動に具体的な対策を」などに合致する取り組みです。環境負荷の低い製品を作ることは、持続可能な社会への直接的な貢献となります。

選択肢1の「価格競争」や選択肢3の「株主利益の優先」は、従来の資本主義的な経済活動としては正当ですが、SDGsの文脈における「社会・環境への配慮」とは視点が異なります。SDGs対応としては不適切と判断されます。

【解説】

正解: 3 顧客や地域社会を含む利害関係者全体

この問題は、ビジネス用語としての「ステークホルダ（利害関係者）」の範囲を問うています。会社に関わる人は、株主や社長だけではないという広い視野を持っているかがポイントです。

正解である選択肢3は正しい定義です。ステークホルダとは、株主・経営者・従業員だけでなく、顧客、取引先、金融機関、さらには企業活動の影響を受ける地域社会や行政までも含んだ「あらゆる関係者」を指します。

選択肢1「経営層のみ」や選択肢2「競合他社のみ」は、範囲を著しく限定しすぎているため間違いです。特に「のみ」という表現に注意しましょう。ステークホルダは非常に広い範囲を指す言葉です。

【解説】

正解: 2 利害関係者の期待に応えながら持続可能な成長を目指す

この問題は、現代の企業経営において求められる「ステークホルダとの向き合い方」を問うています。誰か一人の利益だけを優先すると、長期的には企業が立ち行かなくなることを理解しましょう。

正解である選択肢2は、現代の経営トレンド（ステークホルダ資本主義）に合致しています。従業員、顧客、地域社会など、多様な関係者のバランスを取り、良好な関係を築くことが、結果として企業の長期的な成長につながります。

選択肢1のような「株主第一主義」は過去の考え方になりつつあり、他の関係者を無視することはリスクとなります。
選択肢3のように顧客要望を無視してコストばかり優先すると、顧客離れを招き経営が悪化するため、適切な行動とは言えません。

【解説】

正解: 1 コミュニケーションと信頼関係の構築

この問題は、プロジェクトマネジメントや経営において、ステークホルダとうまく付き合うために何が一番大切かを問うています。

正解である選択肢1は、ステークホルダ管理（エンゲージメント）の本質です。利害関係者の要望を聞き、企業の情報を伝え、双方向の対話を続けることで「信頼」を築くことが、プロジェクトや経営を成功させる鍵となります。

選択肢2の「競合分析」はマーケティング戦略、選択肢3の「価格設定」は販売戦略の話です。これらは企業活動として重要ですが、「人との関係性」を管理するステークホルダ管理の核心的要素ではないため、この文脈では間違いです。

【解説】

正解: 3 企業の社会的評価と信頼性の向上

この問題は、「商品ブランド（製品そのもの）」と「コーポレートブランド（会社そのもの）」の違いや、ブランディングの目的を理解しているかを問うています。

正解である選択肢3は、コーポレートブランディングのゴールです。「この会社の製品なら安心だ」「この会社で働きたい」といった、企業全体に対する信頼や好意的なイメージ（ブランド価値）を高めることが目的です。

選択肢1はコスト戦略、選択肢2は市場シェア戦略であり、ブランド向上の結果として起きることはあっても、ブランド構築の直接的な「目的」ではありません。ブランドは「安さ」や「独占」ではなく、「価値」や「信頼」を作る活動です。

【解説】

正解: 2 企業の社会的責任を果たす

この問題は、どうすれば会社のブランド価値が上がるか、その手法を問うています。現代では、ただ良い製品を作るだけでなく、「良い会社であること（CSR）」が評価される点に着目しましょう。

正解である選択肢2にある通り、CSR（企業の社会的責任）活動やコンプライアンス（法令遵守）を徹底することは、社会からの信頼を得る最も確実な方法です。誠実な企業姿勢が、強いコーポレートブランドを作ります。

選択肢1は競争戦略の話であり、ブランド強化とは直接結びつきません。
選択肢3のように広告費を単に削減すると、企業の認知度が下がる恐れがあり、ブランド強化とは逆行する可能性があるため間違いです。

【解説】

正解: 1 社会的な評判と顧客満足度

この問題は、ブランドの価値が「何によって決まるか」を問うています。ブランド価値は企業が勝手に決めるものではなく、受け手（顧客や社会）がどう感じるかで決まるという点が重要です。

正解である選択肢1は、ブランド価値を構成する主要素です。世間からどう思われているか（評判）、商品を使って満足したか（顧客体験）の積み重ねが、そのままブランドの評価となります。

選択肢2「競合数」や選択肢3「製品ラインの拡大速度」は、市場環境や企業の成長スピードを示す指標ですが、これら自体がブランドの「質」や「信頼性」を直接決定づけるものではないため、最も適切な要因とは言えません。