【ITパスポート練習問題 6.3対応】15.エンジニアリングシステム

【解説】

正解: 2 技術や工学を用いて課題解決を目指す

この問題は、エンジニアリングという言葉の基本的な定義を理解しているかを確認するものです。

2の「技術や工学を用いて課題解決を目指す」はエンジニアリングの核心的な活動を正しく説明しています。エンジニアリングは、科学的な知識や技術を応用して、社会や産業が直面する様々な問題を解決するための手法やプロセスを指します。

1の「人間の手作業を完全に代替する」は誤りです。エンジニアリングは作業を効率化しますが、人間の判断や創造性と協働する場面も多く、必ずしも完全な代替を目指すものではありません。3の「特定の産業に限定して利用される」も誤りです。エンジニアリングは製造業だけでなく、情報通信、土木建築、医療、金融など、非常に広範な分野で活用されています。

【解説】

正解: 3 人事評価の実施

この問題は、エンジニアリング（工学）の分野におけるITの活用範囲を正しく理解しているかを確認するものです。

3の「人事評価の実施」は、エンジニアリング活動におけるIT活用の主目的ではありません。人事評価は、工学的な設計や製造とは直接関係がなく、主に人事管理や組織運営の領域に属します。

1の「生産管理の効率化」や2の「設計の自動化」は、エンジニアリング分野でITが活用される典型的な例です。ITの活用により、これらのプロセスの速度、精度、コスト効率が大幅に向上します。

【解説】

正解: 1 製品やサービスの付加価値向上

この問題は、エンジニアリング活動が目指す最終的な成果、つまり目的を理解しているかを確認するものです。

1の「製品やサービスの付加価値向上」は、エンジニアリングの主要な成果です。技術や工学を用いて課題を解決することにより、製品の品質向上、コスト削減、新機能の追加などが実現され、結果としてその価値が高まります。

2の「技術的課題の発見と維持」は誤りです。課題は「解決」するものであり、「維持」するものではありません。3の「設計や製造の無秩序な展開」も誤りです。エンジニアリングは、むしろ設計や製造を合理的かつ体系的に（秩序立てて）行うための手法です。

【解説】

正解: 2 製造プロセスを完全に自動化できる

この問題は、CAD（キャド：Computer Aided Design）の基本的な機能と限界を理解しているかを確認するものです。

2の「製造プロセスを完全に自動化できる」はCADの特長として適切ではありません。CADは「コンピュータ支援設計」であり、主な役割は設計や図面作成の効率化です。製造の自動化には、CAM（コンピュータ支援製造）など他のシステムが関わります。

1の「設計図面を効率的に作成できる」と3の「正確な設計データを共有できる」は、CADの主要な特長です。コンピュータ上で作図や修正を迅速に行え、デジタルデータとして正確な情報を関係者間で容易に共有できます。

【解説】

正解: 1 設計の正確性と効率性の向上

この問題は、CAD（コンピュータ支援設計）を導入することによる主な利点を理解しているかを確認するものです。

1の「設計の正確性と効率性の向上」がCADの最大のメリットです。コンピュータ上で設計を行うため、手作業に比べて寸法や形状の正確性が格段に向上し、修正や複製も容易になるため作業効率が大幅に改善されます。

2の「手作業による製図の重要性の増大」は誤りです。CADの普及により、手作業での製図の必要性は減少しています。3の「設計変更ができなくなる」も誤りです。むしろCADは、設計変更を容易に行えることが大きな利点の一つです。

【解説】

正解: 2 製造業

この問題は、CAD（コンピュータ支援設計）がどのような産業分野で主に使用されているかを理解しているかを確認するものです。

2の「製造業」は、CADが最も広く活用されている分野の一つです。自動車、家電、機械などの製品設計や金型設計に不可欠なツールです。同様に、建築分野でも広く使われています。

1の「農業」や3の「音楽制作」は、CADの主な使用分野ではありません。農業ではIT活用が進んでいますが設計図作成が中心ではなく、音楽制作ではDAW（Digital Audio Workstation）などの異なる専門ツールが使われます。

【解説】

正解: 3 設計プロセスの後戻りを防ぐ

この問題は、コンカレントエンジニアリングの基本的な目的を理解しているかを確認するものです。

3の「設計プロセスの後戻りを防ぐ」が最も適切な目的です。コンカレントエンジニアリングは、設計の初期段階から生産、品質管理、コスト管理など関連する全部門が同時に（コンカレントに）連携して開発を進める手法です。これにより、後工程で問題が発覚して設計をやり直す「後戻り」を防ぎます。

1の「製品開発を複雑化させる」は目的ではありません。連携は複雑になる側面もありますが、目的は開発の効率化です。2の「特定部門のみで設計を進める」は、コンカレントエンジニアリングとは逆の、従来型の部門ごとに順番に進める手法（ウォーターフォール型）に近い考え方であり、誤りです。

【解説】

正解: 1 開発期間の短縮とコスト削減

この問題は、コンカレントエンジニアリングを導入することによって得られる主な利点を理解しているかを確認するものです。

1の「開発期間の短縮とコスト削減」が最大の利点です。設計と生産準備などを並行して進め、後戻りを防ぐことで、開発全体のリードタイムが短縮されます。また、手戻りによる追加コストや、早期の段階でコスト削減の検討ができるため、総コストの削減にもつながります。

2の「生産計画の排除」や3の「開発初期段階の計画不要」は誤りです。むしろ、設計と生産計画を「同時に」進めるため、初期段階からの綿密な計画と情報共有が不可欠です。

【解説】

正解: 3 部門ごとの作業を完全に分離する

この問題は、コンカレントエンジニアリングの手法の特徴として、不適切なものを見分ける能力を確認するものです。

3の「部門ごとの作業を完全に分離する」は、コンカレントエンジニアリングの特徴と正反対であり、誤りです。この手法の核心は、部門間の壁を取り払い、連携を密にすることにあります。

1の「部門間の情報共有を重視する」と2の「設計と生産計画を同時進行する」は、コンカレントエンジニアリングのまさに中心的な特徴を正しく説明しています。

【解説】

正解: 2 リスク低減とコスト削減を図る

この問題は、シミュレーション（模擬実験）がビジネスや工学においてどのような目的で利用されるかを理解しているかを確認するものです。

2の「リスク低減とコスト削減を図る」がシミュレーションの主な目的です。コンピュータ上で仮想的に実験や試行を行うことで、実物での実験に伴う高額なコストや、危険な状況（例：衝突実験）を回避し、安全かつ低コストで様々な条件を試すことができます。

1の「実験データを完全に排除する」や3の「実地試験を不要にする」は誤りです。シミュレーションは万能ではなく、現実を完全に再現できるわけではありません。実地試験を補完したり、回数を減らしたりするために使われますが、最終的には実地試験での検証が必要な場合も多くあります。

【解説】

正解: 1 実験コストの削減とリスク評価の精度向上

この問題は、シミュレーションを活用することによって得られる具体的な利点を理解しているかを確認するものです。

1の「実験コストの削減とリスク評価の精度向上」は、シミュレーションの主要な利点です。実物を使った実験を減らせるためコストが削減できると同時に、現実では試すのが難しい多数のパターンをシミュレーションすることで、潜在的なリスクをより高い精度で評価できます。

2の「すべての実験をコンピュータ上で完全に再現」や3の「実験プロセスを完全に省略する」は誤りです。シミュレーションは現実をモデル化したものであり、すべての事象を「完全に」再現することは困難です。また、実験プロセスを補完・効率化するものであり、「完全に省略」するものではありません。

【解説】

正解: 2 実際の実験が危険またはコストが高い場合

この問題は、シミュレーション技術がどのような状況で特に有効に活用されるかを理解しているかを確認するものです。

2の「実際の実験が危険またはコストが高い場合」は、シミュレーションが最も効果を発揮する典型的な場面です。例えば、大規模なインフラの耐久試験、新型航空機の飛行試験、危険な化学反応の実験などは、実地で行うには多大なコストや危険が伴うため、シミュレーションが非常に有用です。

1の「現場での全数検査が可能な場合」は、シミュレーションよりも実際の検査を行う方が確実です。3の「実験の実施が法律で義務付けられている場合」は、法律がシミュレーションを実験の代替として認めているかによりますが、一般的には実地試験そのものが求められるため、シミュレーションに頼る理由にはなりません。

【解説】

正解: 3 環境データのリアルタイム収集

この問題は、センシング技術の具体的な活用例として適切なものを選ぶ能力を確認するものです。

3の「環境データのリアルタイム収集」は、センシング技術の典型的な活用例です。温度センサー、湿度センサー、光センサーなどを用いて、現実世界の物理的な状態や変化をデータとして「検知（センス）」し、リアルタイムで収集します。

1の「製品設計の効率化」は、主にCADなどの設計ツールが担う役割です。2の「製造現場での作業員の教育」は、VR（仮想現実）やAR（拡張現実）、eラーニングなどが活用される分野であり、センシング技術の直接の活用例ではありません。

【解説】

正解: 2 データ収集

この問題は、センシング技術がデータ処理のプロセスにおいて、どの段階と最も密接に関連しているかを問うものです。

2の「データ収集」は、センシング技術のまさに中核となる役割です。センサー（検知器）を用いて、温度、光、音、動きなどの物理的な情報を検知し、それをデジタルデータとして取得（収集）することがセンシング技術の定義です。

1の「データ可視化」は、収集したデータをグラフや図で分かりやすく表示する技術です。3の「データ削除」は、不要になったデータを消去する管理上の操作です。これらは両方とも、データが収集された後の段階の処理です。

【解説】

正解: 3 正確なデータの取得

この問題は、センシング技術を活用することによって期待される主要な成果を理解しているかを確認するものです。

3の「正確なデータの取得」が期待される成果です。センシング技術の進歩により、従来は測定が難しかった情報や、人間の感覚では捉えられない微細な変化を、センサーを用いて客観的かつ正確なデータとして取得できるようになります。

1の「現場での迅速なデータ処理」は、センシング技術そのものの成果というよりは、収集したデータを処理するコンピュータやネットワーク（例：エッジコンピューティング）の役割です。2の「データの無秩序な生成」は、成果ではなく、むしろ管理されていない悪い状態を指すため誤りです。

【解説】

正解: 1 ライン生産方式

この問題は、代表的な生産方式の種類と、その中でも特に「大量生産」に適した方式を理解しているかを確認するものです。

1の「ライン生産方式」は、大量生産に最も適した方式です。ベルトコンベアなどに沿って作業工程を直線的に配置し、各作業者が決まった単純作業を繰り返すことで、同一製品を効率良く大量に生産します。

2の「セル生産方式」は、複数の異なる工程を一人または少数の作業者チームが担当する方式で、多品種少量生産に柔軟に対応するのに適しています。3の「プロジェクト生産方式」は、船舶や大規模プラントなど、特定の場所で1回限りの製品を製造する方式（単品生産）です。

【解説】

正解: 1 製品の特性と市場ニーズ

この問題は、企業がどのような生産方式（ライン生産、セル生産など）を採用するかを決定する際に、何を基準に考えるべきかを理解しているかを確認するものです。

1の「製品の特性と市場ニーズ」が最も重要な考慮要素です。「大量生産が必要か（市場ニーズ）、多品種少量生産が必要か（市場ニーズ）」「製品は大きいか小さいか（特性）」「製造プロセスは複雑か（特性）」などに基づいて、最適な生産方式が選ばれます。

2の「生産地の文化的背景」や3の「使用言語の種類」は、生産方式そのものの選択（例：ライン方式かセル方式か）を決定する上での直接的な要因ではありません。これらは現地でのコミュニケーションや労務管理の側面では考慮されますが、生産方式の技術的な選択とは異なります。

【解説】

正解: 2 セル生産方式

この問題は、提示された選択肢の中から、具体的な「生産方式」の名称として正しいものを選び出す、基本的な用語知識を問うものです。

2の「セル生産方式」は、多品種少量生産に対応するための一つの生産方式の名称です。

1の「経営管理方式」は、生産に限らず、企業全体の運営や管理に関する手法を指す広範な用語です。3の「マーケティング方式」は、製品を市場にどのように販売していくかという営業活動や市場調査に関する手法を指します。どちらも生産方式そのものではありません。

【解説】

正解: 1 在庫の削減と生産効率の向上

この問題は、JIT（ジャストインタイム）の基本的な目的を理解しているかを確認するものです。

1の「在庫の削減と生産効率の向上」がJITの主な目的です。JITは「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」生産・供給する仕組みです。これにより、部材や仕掛品の「在庫」という無駄を徹底的に排除し、生産プロセス全体の効率を高めます。

2の「製造機械の設置面積の縮小」は、在庫削減の結果として起こる可能性はありますが、JITの直接的な目的ではありません。3の「製品の多様化」もJITの目的ではなく、多様化に対応するための生産方式（例：セル生産方式）とは異なります。

【解説】

正解: 3 需要予測の精度向上

この問題は、JIT（ジャストインタイム）を円滑に運用するために、前提として何が重要になるかを理解しているかを確認するものです。

3の「需要予測の精度向上」はJITの運用に不可欠です。「必要なときに、必要なだけ」生産するためには、顧客が「いつ、どれだけ」必要とするかを正確に予測することが極めて重要になります。予測が外れると、品切れや過剰在庫が発生してしまいます。

1の「人員の削減」や2の「生産設備の削減」は、JITの目的ではありません。効率化の結果として人員が再配置されることはあっても、JITのために削減が必須なわけではありません。

【解説】

正解: 2 需要が不安定な製品

この問題は、JIT（ジャストインタイム）がどのような生産形態には適していないか、その限界を理解しているかを確認するものです。

2の「需要が不安定な製品」はJITに最も向いていません。JITは「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」供給する仕組みですが、需要が不安定だと「いつ、どれだけ」必要になるかの予測が困難です。そのため、急な需要増に対応できず品切れを起こしたり、逆に在庫を抱えたりするリスクが高くなります。

1の「需要が安定している製品」や3の「同一規格の大量生産」は、需要予測が容易であるため、JITを適用しやすい代表的な状況です。

【解説】

正解: 2 多品種少量生産に適した柔軟な生産システム

この問題は、FMS（Flexible Manufacturing System：柔軟生産システム）の基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。

2の「多品種少量生産に適した柔軟な生産システム」がFMSの正しい説明です。FMSは、工作機械や産業用ロボット、搬送装置などをコンピュータで統合的に制御し、生産する品目や量を柔軟（Flexible）に変更できる生産システムを指します。

1の「一種類の製品を大量生産するシステム」は、FMSとは逆の、専用ラインなどによる固定的な生産システムの説明です。3の「在庫管理を必要としない完全自動化システム」は誤りです。FMSは自動化システムですが、資材や仕掛品の在庫管理が不要になるわけではありません。

【解説】

正解: 1 生産プロセスの柔軟性向上

この問題は、FMS（柔軟生産システム）を導入することによって得られる主な効果を理解しているかを確認するものです。

1の「生産プロセスの柔軟性向上」がFMS導入の最大の効果です。市場のニーズが多様化し、製品のライフサイクルが短くなる中で、FMSは異なる製品の生産や設計変更に迅速かつ柔軟に対応することを可能にします。

2の「製品品質の完全自動保証」は誤りです。自動化は品質の安定に寄与しますが、品質保証には検査や管理プロセスも必要であり、「完全自動保証」を意味するものではありません。3の「設備投資の削減」も誤りです。FMSは高度な自動化設備や制御システムを導入するため、一般的に初期の設備投資は大きくなる傾向があります。

【解説】

正解: 3 多品種少量生産

この問題は、FMS（柔軟生産システム）がどのような生産形態で最も効果を発揮するかを理解しているかを確認するものです。

3の「多品種少量生産」は、FMSが最も得意とする生産形態です。FMSの「柔軟性（Flexible）」は、まさに多品種少量生産や需要変動に効率的に対応するために設計された特徴です。

1の「一品ものの製造」は、プロジェクト生産方式などが適しています。2の「単一製品の大量生産」は、FMSのような柔軟性は不要であり、専用のライン生産方式の方がコスト効率は高くなります。

【解説】

正解: 2 資材調達の効率化

この問題は、MRP（Material Requirements Planning：資材所要量計画）の基本的な目的を理解しているかを確認するものです。

2の「資材調達の効率化」がMRPの主な目的です。MRPは、製品を「いつ」「いくつ」生産するかに基づき、その製品に必要な部品や原材料（資材）が「いつ」「いくつ」必要になるかを計算し、資材の最適な発注時期や量を計画するシステムです。これにより、資材の在庫を最小限に抑えつつ、品切れを防ぎます。

1の「製品価格の決定」は、原価計算やマーケティングの領域です。3の「完成品の直接販売」は、販売管理や物流の領域であり、MRPの目的とは異なります。

【解説】

正解: 3 製品構成表と在庫情報

この問題は、MRP（資材所要量計画）を実行するために、どのような基礎データ（入力情報）が必要になるかを理解しているかを確認するものです。

3の「製品構成表と在庫情報」は、MRPの計算に不可欠な基本情報です。「製品構成表（BOM）」には、ある製品を1つ作るのにどの部品がいくつ必要かという情報が書かれています。MRPはこれと「現在の在庫情報」や「生産計画」を突き合わせ、不足する資材を計算します。

1の「人材の勤務スケジュール」や2の「販売データと市場トレンド」は、MRPの元となる「生産計画」を作成する上で参考にされますが、MRPシステムへの直接の入力情報ではありません。

【解説】

正解: 1 生産ラインの停止による損失

この問題は、MRP（資材所要量計画）を適切に利用することで、どのような問題を回避できるか、その利点を理解しているかを確認するものです。

1の「生産ラインの停止による損失」を避けることができます。MRPによって必要な資材が適切なタイミングで調達されるため、「作るものがあるのに部品がない」といった理由で生産ラインが停止する事態（＝機会損失）を防ぐことができます。

2の「製品のデザインミス」は、設計段階で防ぐべき問題です。3の「市場での競争力低下」は様々な要因で起こるため、MRPだけで避けられるものではありません。これらはMRPの管理範囲外です。

【解説】

正解: 2 無駄を排除して価値を最大化する

この問題は、リーン生産方式の根本的な考え方、基本原則を理解しているかを確認するものです。

2の「無駄を排除して価値を最大化する」がリーン生産方式の基本原則です。この方式は、トヨタ生産方式を源流とし、製品の生産プロセス全体を見渡し、顧客にとって価値を生まない全ての活動（例：作りすぎ、在庫、手待ち、運搬などの無駄）を徹底的に排除することを目指します。

1の「生産の柔軟性よりコスト削減を優先する」は誤りです。無駄を排除した結果として柔軟性も高まることを目指します。3の「大量生産を最優先とする」も誤りです。これは大量生産方式の考え方であり、リーン生産方式は必要なものを必要なだけ作ることを目指します。

【解説】

正解: 2 生産プロセスの効率化

この問題は、リーン生産方式が「無駄を排除して価値を最大化する」ために、具体的に何を重視しているかを理解しているかを確認するものです。

2の「生産プロセスの効率化」を特に重視します。リーン生産方式では、作業の動線、部品の配置、情報の流れなど、生産プロセス全体を分析し、無駄な動作や停滞をなくすことで、流れをスムーズにし（効率化）、生産性を高めます。

1の「作業者の熟練度」も重要ですが、個人の熟練度だけに頼るのではなく、誰でも効率的に作業できる「仕組み（プロセス）」を作ることにも重点を置きます。3の「資本投資の拡大」は、むしろ無駄をなくす「カイゼン」によって、大きな投資をせずに効率化を図ることを目指すため、重視する要素とは言えません。

【解説】

正解: 3 製品の高品質化

この問題は、リーン生産方式において排除すべき対象とされる「無駄」の例として、不適切なものを見分ける能力を確認するものです。

3の「製品の高品質化」は、「無駄」ではありません。むしろリーン生産方式が目指す「顧客にとっての価値」そのものです。（ただし、顧客が求めていない過剰な品質は無駄と見なされる場合もあります。）

1の「過剰在庫」は、保管スペースや管理コスト、資金の固定化といった無駄を生むため、排除すべき対象の代表例です。2の「運搬時間」も、それ自体は価値を生み出さないため、レイアウトの改善などで最小限にすべき「無駄」の一つとされます。

【解説】

正解: 2 在庫の削減と生産の流れの最適化

この問題は、かんばん方式（トヨタ生産方式の主要なツールの一つ）の基本的な目的を理解しているかを確認するものです。

2の「在庫の削減と生産の流れの最適化」が、かんばん方式の主な目的です。かんばん方式は、後工程が前工程に必要な部品を「かんばん（指示票）」を使って取りに行く仕組み（プル方式）です。これにより、後工程で使われた分だけ前工程が生産するため、工程間の仕掛在庫を最小限に抑え、生産全体の流れをスムーズにします。

1の「作業の全自動化」は、かんばん方式の目的ではありません。3の「生産計画の長期的見通し確保」は、生産計画部門の役割であり、かんばん方式は日々の生産を制御するための現場のツールです。

【解説】

正解: 1 明確な作業指示と工程管理

この問題は、かんばん方式を正しく機能させるために、どのような前提条件や運用ルールが必要になるかを理解しているかを確認するものです。

1の「明確な作業指示と工程管理」が必要です。かんばん方式では、「かんばん」自体が「何を」「いくつ」「いつまでに」作るかという明確な作業指示書となります。また、このかんばんの流れが滞らないように、各工程の生産能力や作業手順を適切に管理することが不可欠です。

2の「生産の一括指示と長期計画」は、かんばん方式とは逆の考え方（プッシュ方式）です。3の「作業者の自由な判断」は、一定の範囲での改善は求められますが、かんばんのルールを無視した自由な判断は、システムの混乱を招くため許されません。

【解説】

正解: 2 不規則な需要の生産

この問題は、かんばん方式がどのような生産形態には適していないか、その限界を理解しているかを確認するものです。

2の「不規則な需要の生産」には向いていません。かんばん方式は、JIT（ジャストインタイム）を実現する手段であり、比較的安定した需要があることを前提に、生産の平準化（需要の変動をならすこと）を図りながら運用されます。需要が不規則に大きく変動すると、かんばんの枚数調整が追いつかず、品切れや過剰在庫が発生しやすくなります。

1の「大量生産」や3の「安定した製品需要の生産」は、需要が読みやすく生産が平準化しやすいため、かんばん方式を適用しやすい状況です。