【ITパスポート練習問題 6.3対応】➀ 経営管理とは

【解説】

正解: 2 従業員の行動を組織の目標に向けて統一する

この問題は、組織における「経営目標」の定義と役割を問うています。「なぜ目標を設定するのか？」という根本的な理由を理解しているかがポイントです。

正解である選択肢2は、経営目標の本質的な役割を示しています。企業全体で目指すべきゴール（経営目標）を定めることで、個々の従業員や部署がバラバラに動くのを防ぎ、全員のベクトルを合わせて組織としての一体感を生み出します。

選択肢1の「市場競争からの撤退」は、目標達成が困難になった場合などに下される「経営判断」の一つに過ぎず、目標の役割そのものではないため誤りです。
選択肢3の「業務プロセスの詳細な手順」は、目標を達成するための「手段（マニュアルや業務規定）」であり、目標そのものではないため間違いと判断できます。

【解説】

正解: 1 売上高や利益のような具体的な数値目標

この問題は、目標管理において「定量的（数値で測れる）」な指標の重要性を理解しているかを確認しています。目標は曖昧なものではなく、客観的に評価できる必要があります。

正解である選択肢1は、経営目標として適切な指標です。売上高、利益率、シェア率などの具体的な数値（KPI）を設定することで、達成できたかどうかが客観的に判断でき、進捗管理も可能になります。

選択肢2の「市場全体の動向」は、目標を設定するための「前提情報（外部環境）」であり、企業が自ら達成すべき指標ではないため誤りです。
選択肢3の「社内の雰囲気や風土」は、定性的な要素であり重要ですが、客観的な測定が難しく、「達成度を測る指標」としては不十分であるため、最も重要な指標としては不適切です。

【解説】

正解: 3 実行計画なしで目標だけを掲げる

この問題は、目標設定の「実効性」を問う問題です。良い目標には、それを実現するためのプロセス（アクションプラン）がセットで必要であることを理解しているかがポイントです。

正解である選択肢3は、典型的な「絵に描いた餅」の状態であり、不適切です。どれほど立派な目標でも、具体的な「いつ、誰が、何をするか」という実行計画が伴わなければ、現場は動けず、目標倒れに終わってしまいます。

選択肢1「明確で達成可能な目標」は、SMARTの法則などでも推奨される適切な設定方法です。
選択肢2「短期・中期・長期の視点」も、将来のビジョンと足元の行動をつなげるために必要な視点であり、適切な設定方法です。

【解説】

正解: 2 企業の資金繰りを適切に行う

この問題は、企業の3大資源「ヒト・モノ・カネ」のうち、「カネ」を扱う財務管理の役割を正しく理解しているかを問うています。

正解である選択肢2は、財務管理の核心です。企業が活動を続けるためには、必要な資金を調達し、余剰資金を運用し、支払いに困らないように資金繰りを管理する必要があります。これが滞ると黒字倒産などのリスクが生じます。

選択肢1の「従業員の満足度」は「ヒト」に関する領域なので、人事管理（HR）の担当であり誤りです。
選択肢3の「製品の品質管理」は「モノ」に関する領域なので、生産管理や品質管理の担当であり、財務管理の目的ではありません。

【解説】

正解: 1 設備や在庫などの物的資源の管理

この問題は、「資産（アセット）」が具体的に何を指し、どう管理すべきかを問うています。ITパスポート試験では、IT資産だけでなく、企業の一般的な資産管理の概念も問われます。

正解である選択肢1は、資産管理の対象そのものです。工場、機械、PCなどの設備や、販売用の在庫を適切に記録・管理し、紛失や盗難を防ぎ、効率的に活用することで、企業の利益最大化に貢献します。

選択肢2の「市場調査結果の分析」は、マーケティング活動の一環であり、資産そのものの管理とは異なります。
選択肢3の「顧客満足度の向上」は、営業やサービスの目標であり、社内の資産を管理する活動とは直接結びつかないため誤りです。

【解説】

正解: 1 企業のデータや情報資産の保護と運用

この問題は、経営資源としての「情報」の重要性と、セキュリティ（CIA：機密性・完全性・可用性）の概念を理解しているかを問うものです。

正解である選択肢1は、情報セキュリティ管理の本質です。情報は漏洩すればリスクになりますが、活用すれば武器になります。「守る（保護）」と「使う（運用）」の両立が情報管理の目的です。

選択肢2の「株価の上昇」は、企業全体の経営目標の結果としてついてくるものであり、情報管理単独の目的ではありません。
選択肢3の「マーケティング戦略の見直し」は、情報を「活用した結果」行われるアクションであり、情報管理そのものの目的（管理・保護）とは異なるため誤りです。

【解説】

正解: 3 実行結果を評価する

この問題は、業務改善の基本フレームワークであるPDCAの各フェーズの役割を正確に理解しているかを問うています。特に「やりっぱなし」にしないためのCheckの重要性がポイントです。

正解である選択肢3は、Check（評価・点検）の定義そのものです。Plan（計画）で決めた目標に対し、Do（実行）した結果がどうだったか、差分や問題点を分析・評価するプロセスを指します。

選択肢1の「計画を立てる」は、最初のP（Plan）の段階です。
選択肢2の「新しい目標を設定する」は、評価結果を受けて改善策を実施した後の次のサイクル、あるいはA（Act：改善）から次のPにつながる段階であり、Checkの段階ではありません。

【解説】

正解: 2 継続的な業務改善が行える

この問題は、PDCAが「サイクル（循環）」であることを理解しているか問うています。一度きりではなく、回し続けることに意味がある手法です。

正解である選択肢2は、PDCA最大の特徴です。P→D→C→Aと一周した後、その改善結果をもとに次のレベルの高いP（計画）を立てることで、スパイラルアップ（螺旋状の向上）と呼ばれる継続的な改善が可能になります。

選択肢1は、PDCAの性質と矛盾します。PDCAは失敗や課題が見つかることを前提に、何度も改善を繰り返す手法であり、一度で完璧を目指すものではありません。
選択肢3は論外です。PDCAの出発点は「Plan（計画）」であり、計画なしに行き当たりばったりで進める手法ではないため、明確な間違いです。

【解説】

正解: 1 改善策を立て次のサイクルに反映する

この問題は、PDCAの「A (Act/Action)」の役割を問うています。「Act」は単に行動することではなく、「改善処置」を意味することを理解する必要があります。

正解である選択肢1は、Actの役割を正しく説明しています。Check（評価）で見つかった課題に対し、「次はこうしよう」という改善策を決め、それを次のPlan（計画）につなげることでサイクルを完結させます。

選択肢2の「実行計画を立てる」は、次のサイクルのPlan（計画）の段階であり、最終段階のActではありません。
選択肢3の「結果を無視して」は、PDCAの目的である「学習と改善」を否定する行為であり、マネジメントとして最も不適切です。

【解説】

正解: 3 選択肢を評価して決定する

この問題は、PDCAと比較される意思決定フレームワーク「OODA（ウーダ）ループ」の各プロセスを理解しているかを問うています。Observe（観察）→Orient（状況判断）→Decide（意思決定）→Act（行動）の流れがポイントです。

正解である選択肢3は、Decide（意思決定）の説明です。状況判断（Orient）に基づき、具体的な行動方針や手段を「決める」段階です。ここで決めたことを次のActで実行します。

選択肢1「状況を観察する」は、最初のO（Observe）の段階です。
選択肢2「行動を起こす」は、最後のA（Act）の段階です。PDCAとの違いとして、OODAは事前の計画（Plan）よりも、現状の観察（Observe）からスタートする点が特徴です。

【解説】

正解: 2 迅速な意思決定と行動の繰り返し

この問題は、OODAループがどのような場面で有効な手法かを問うています。PDCAが「計画通りの遂行」を重視するのに対し、OODAは「臨機応変な対応」を重視します。

正解である選択肢2は、OODAの本質です。元々が空戦（戦闘機パイロット）の理論から生まれているため、刻一刻と変わる状況を見て（Observe）、即座に判断し（Orient/Decide）、行動する（Act）という高速回転が特徴です。

選択肢1の「定期的な見直し」や、選択肢3の「計画を立てた後に評価」は、じっくりと品質やプロセスを管理するPDCAサイクルの特徴であり、OODAの説明としては不適切です。

【解説】

正解: 3 急速に変化する競争環境

この問題は、PDCAとOODAの使い分けを理解しているかを問うています。環境の変化スピードによって、適したフレームワークは異なります。

正解である選択肢3は、OODAが最も力を発揮するシーンです。予測不能な変化が起きる環境では、緻密な計画（Plan）を立てている間に状況が変わってしまいます。そのため、現場の判断で即応できるOODAが適しています。

選択肢1のような「安定した環境」や、選択肢2のような「定型業務（ルーチンワーク）」では、過去のデータに基づいた計画と改善が有効なため、PDCAサイクルの方が適しており、OODAを使うメリットは薄くなります。

【解説】

正解: 2 非常時の事業継続と早期復旧を確保する

この問題は、BCP（Business Continuity Plan：事業継続計画）の基本定義を問うています。単なる「防災対策」ではなく、「ビジネスを止めない、またはすぐに戻す」ための計画であることがポイントです。

正解である選択肢2は、BCPの核心です。大地震やパンデミック、サイバー攻撃などの緊急事態においても、中核となる事業を継続し、停止した場合でも許容される時間内に復旧させることを目的とします。

選択肢1は、「事業停止を想定する」までは正しいですが、BCPの目的はそこで止まらず「どう復旧するか」までを含むため不十分です。
選択肢3の「経営戦略の見直し」は平時の経営活動であり、非常時の対応計画であるBCPの直接的な目的ではありません。

【解説】

正解: 2 災害時のリスク評価と対応策

この問題は、BCPを具体的に作るために何が必要かを問うています。計画を作るには、「何が起きるか（リスク）」と「どうするか（対応）」のセットが必要です。

正解である選択肢2は、BCP策定の必須要素です。どのような災害や事故が起こり得るかを洗い出し（リスク評価）、それが発生した時に誰がどう動くか、代替手段はどうするか（対応策）を決める必要があります。

選択肢1の「従業員の目標達成計画」は人事評価（MBOなど）の話であり、BCPとは無関係です。
選択肢3の「財務管理の改善」は日常的な経営課題ですが、BCPで扱う「緊急時の資金手当て（保険や融資枠の確保など）」とはニュアンスが異なり、BCP策定の中心要素ではありません。

【解説】

正解: 3 非常時の事業継続能力を維持・向上する

この問題は、BCP（計画）とBCM（Business Continuity Management：事業継続マネジメント）の関係性を問うています。計画を作って終わりではなく、運用し続ける仕組みがBCMです。

正解である選択肢3は、マネジメント（管理）の目的そのものです。策定したBCPが古くならないように、教育や訓練、定期的な見直しを行うことで、組織全体としての「対応能力」を維持・向上させることがBCMの目的です。

選択肢1の「リスクを完全に排除する」ことは、自然災害などを考えると現実的に不可能です。BCMはリスクが発生することを前提に、被害を最小限に抑えることを目指します。
選択肢2は、通常の経営管理の話であり、BCMの目的ではありません。

【解説】

正解: 2 非常時対応の訓練と見直し

この問題は、BCM（マネジメント）の具体的な活動内容を問うています。計画（BCP）を実行可能な状態にしておくための活動を選ぶ必要があります。

正解である選択肢2は、BCMの代表的な活動です。避難訓練やシステムの切り替えテストを行い、うまくいかなかった点を洗い出してBCP（計画書）を修正する、というPDCAを回すことがBCMの実体です。

選択肢1や3は、一般的な設備投資やシステム導入の話です。これらが「災害対策用」であれば関連しますが、単独では通常の業務改善活動と区別がつかないため、BCM特有の活動としては選択肢2が最も適切です。

【解説】

正解: 1 BCPは計画の策定、BCMは管理全体を指す

この問題は、用語の定義と包含関係を正確に理解しているかを問うています。「P = Plan（計画書）」「M = Management（運用・管理の仕組み）」という言葉の意味から推測可能です。

正解である選択肢1は、両者の関係を正しく表しています。BCP（事業継続計画）という「ドキュメント（成果物）」を作ることは、BCM（事業継続マネジメント）という「活動プロセス全体」の一部に含まれます。

選択肢2は役割が逆転しており、誤りです。
選択肢3も誤りです。管理プロセス全体を含むのは「Management」であるBCMの方です。

【解説】

正解: 2 事業影響分析（BIA）を実施する

この問題は、BCP策定の正しい手順を問うています。対策（How）を考える前に、守るべきもの（What）と影響（Impact）を知る必要がある、という論理的順序がポイントです。

正解である選択肢2は、最初に行うべきステップです。事業影響分析（BIA）によって、「どの業務が止まると、どれくらいの損害が出るか」を評価し、優先的に復旧すべき「中核事業」を特定します。これが決まらないと対策が立てられません。

選択肢1の「マニュアル配布」や選択肢3の「代替拠点設置」は、BIAの結果に基づいて策定された対策を実行する段階（フェーズ）の話であり、最初に行うことではありません。

【解説】

正解: 2 リスクの発生確率と影響度を評価すること

この問題は、リスクマネジメントの中核である「リスクアセスメント」の定義を問うています。「アセスメント（Assessment）」が「評価・査定」を意味することを知っていれば解ける問題です。

正解である選択肢2は、リスクアセスメントの内容そのものです。「どのくらい起こりやすいか（発生確率）」と「起きたらどれくらい大変か（影響度）」の2軸でリスクを数値化・レベル分けし、対策の優先順位を決めます。

選択肢1の「リスクをすべて排除」は、リスク対応（リスク回避など）の結果として目指す場合もありますが、アセスメント（評価）の段階ではまだ対策を行わないため、目的の説明としては不適切です。また、全排除は現実的に不可能です。
選択肢3は、福利厚生や職場環境改善の目的であり、リスクアセスメントとは直接関係ありません。

【解説】

正解: 3 事業運営に影響を与える潜在的な危険要素

この問題は、何に対してリスクアセスメントを行うべきか、その「対象」を問うています。顕在化している問題ではなく、「まだ起きていないが起こるかもしれないこと」が対象です。

正解である選択肢3は、リスクの定義（目的に対する不確かさの影響）に合致しています。情報漏洩、システム障害、自然災害、不正行為など、事業の継続や目標達成を阻害する可能性のある「潜在的な危険」を洗い出します。

選択肢1の「ルーチン業務の実施状況」は、業務監査やモニタリングの対象です。
選択肢2の「健康診断結果」は、労働安全衛生法に基づく健康管理の対象です。これらの中にリスクが含まれることはありますが、アセスメントの対象はより広く「事業への影響」全般を指します。

【解説】

正解: 3 発生確率と影響度が高いリスクに優先して対策を講じる

この問題は、リスクアセスメントを行った「後」のアクション（リスク対応）の原則を問うています。資源（人・モノ・カネ）は有限であるため、優先順位付けが重要です。

正解である選択肢3は、リスク対応の定石です。「めったに起きないが、起きたら会社が潰れる（影響度大）」や「被害は小さいが、頻繁に起きる（確率大）」といったリスクを優先的に扱い、効率的に安全性を高めます。

選択肢1は、評価だけして対策しないのであればアセスメントの意味がなく、誤りです。
選択肢2は、優先順位が逆です。確率が低く影響も小さいリスクに時間を割いている間に、重大なリスクが顕在化してしまっては意味がありません。