【ITパスポート練習問題 6.3対応】(1) 処理形態

【解説】

正解: 2 中央コンピュータで処理が行われるため一元管理が可能

この問題は、集中処理方式の基本的な特徴を理解しているかを確認するものです。特に、「どこで処理が行われるか」と「管理のしやすさ」に着目して、集中処理と分散処理を区別できるかが問われています。

正解は2の「中央コンピュータで処理が行われるため一元管理が可能」です。集中処理では、すべてのデータや処理が中央のコンピュータに集められ、そこだけで処理が行われます。そのため、システム全体の設定変更や監視、バックアップなどを中央でまとめて管理でき、一貫した運用がしやすくなります。

選択肢1の「処理が複数のサーバーに分散されるため負荷が分散する」は、まさに分散処理方式の特徴であり、集中処理とは逆の考え方です。選択肢3の「システムの一部が停止しても他の部分は稼働し続ける」は、分散処理や冗長構成により実現される特性であり、中央コンピュータに依存する集中処理では、中央が止まるとシステム全体が影響を受けてしまうため、集中処理の特徴とは言えません。

【解説】

正解: 3 システム全体の処理速度が向上する

この問題は、集中処理方式の「利点」と「限界」を区別できているかを確認するものです。特に、管理性やセキュリティといったメリットと、性能面での注意点を結び付けて理解できているかがポイントです。

正解は3の「システム全体の処理速度が向上する」です。集中処理では、すべての処理が中央コンピュータに集まるため、負荷が一か所に集中しやすくなります。負荷が高くなると、逆に処理が追いつかなくなり、レスポンス低下や処理待ちが発生しやすくなるため、「処理速度が向上する」とまでは言えません。このため、3は集中処理の利点としては不適切です。

選択肢1の「システム全体の管理が容易である」は、集中処理の代表的なメリットです。システム構成やアクセス制御、バックアップなどを中央で統一的に管理できるため、運用面での負担を減らしやすくなります。選択肢2の「セキュリティが高い」も、重要なデータや機能を中央に集約し、厳重な物理的・論理的な管理を行うことで、セキュリティ対策を集中して講じやすいという意味で利点といえます。

【解説】

正解: 2 一元的に管理されるミッションクリティカルなシステム

この問題は、集中処理方式がどのような場面・システムに適しているかを理解しているかを確認するものです。特に、「止められない重要なシステム」と「一元管理しやすい構成」が結び付けられているかがポイントです。

正解は2の「一元的に管理されるミッションクリティカルなシステム」です。ミッションクリティカルなシステムは、停止や誤動作が企業や社会に大きな影響を与えるため、設定変更や監視、アクセス制御を中央で厳密に管理できる集中処理が選ばれる場合があります。中央コンピュータを十分に高性能・高信頼に設計することで、一元管理と信頼性を両立させる狙いがあります。

選択肢1の「多数の独立したプロジェクトを扱うシステム」は、プロジェクトごとに要件や負荷が異なることが多く、それぞれを独立したサーバーやクラウド環境で運用する分散処理の方が柔軟に対応しやすいケースが多くなります。選択肢3の「動的に負荷が変動するウェブアプリケーション」は、アクセス数の増減に応じてサーバー台数を増減させやすい分散処理やクラウド環境が適しており、集中処理を前提とする構成とは相性が良くありません。

【解説】

正解: 2 システム全体の負荷が分散される

この問題は、分散処理方式の代表的な利点を理解しているかを確認するものです。特に、「処理を複数のコンピュータに分けることで得られる効果」をイメージできているかが問われています。

正解は2の「システム全体の負荷が分散される」です。分散処理では、複数のサーバーやコンピュータに処理を振り分けることで、一台あたりの負荷を軽減できます。その結果、システム全体として高い処理性能や応答性を維持しやすくなり、アクセス集中にも強い構成を実現できます。

選択肢1の「処理を一元的に管理できる」は、中央コンピュータに処理を集約する集中処理方式の特徴です。分散処理では、複数のノードを管理する必要があり、むしろ管理は複雑になりがちです。選択肢3の「データの整合性が容易に保たれる」は、分散処理ではむしろ課題になる点です。ノード間でデータを複製・同期する必要があるため、整合性を保つための仕組みや設計が重要になります。

【解説】

正解: 1 大規模なウェブサービス

この問題は、分散処理がどのようなシステムに適しているか、具体的な利用シーンをイメージできているかを確認するものです。特に、「アクセス数や処理量が大きく、負荷が変動するシステム」に対する理解が問われています。

正解は1の「大規模なウェブサービス」です。大規模なウェブサービスでは、同時アクセス数が多く、時間帯やイベントによって負荷が大きく変動します。分散処理を採用することで、複数のサーバーに処理を分散し、必要に応じてサーバー台数を増減させることで、高い可用性とスケーラビリティを実現しやすくなります。

選択肢2の「リアルタイムの金融取引システム」は、一貫性や整合性が特に重要であり、取引データの齟齬が許されません。そのため、処理の一元性・整合性を重視した構成が求められ、場合によっては集中処理や厳格なトランザクション制御が選ばれることも多くなります。選択肢3の「単一のデータベースシステム」は、規模や用途にもよりますが、基本的には一つのサーバーで処理を行う集中処理の構成を指しており、分散処理を前提とした例としては適切ではありません。

【解説】

正解: 2 各サーバー間の通信が複雑になる

この問題は、分散処理方式の「利点」だけでなく「欠点・課題」も理解しているかを確認するものです。特に、複数のサーバーを連携させることによる複雑さに着目できているかがポイントです。

正解は2の「各サーバー間の通信が複雑になる」です。分散処理では、処理の分担やデータのやり取りのためにサーバー間で頻繁に通信が行われます。どのサーバーがどの処理を担当するか、障害時にどのように切り替えるか、データをどのタイミングで同期するかなど、通信制御やプロトコル設計が複雑になりがちです。

選択肢1の「システム全体のスケーラビリティが向上する」は、分散処理の代表的な利点です。サーバー台数を増やすことで処理能力を拡張しやすく、負荷増大にも柔軟に対応できます。選択肢3の「中央コンピュータに負荷が集中する」は、すべての処理を1台で行う集中処理方式の欠点であり、分散処理とは逆の特徴です。

【解説】

正解: 2 複数の処理を同時に実行して処理速度を向上させること

この問題は、並列処理の目的を、集中処理や分散処理と区別して理解しているかを確認するものです。特に、「どのようにして処理速度を上げるのか」という観点から、並列処理の狙いを説明できるかがポイントです。

正解は2の「複数の処理を同時に実行して処理速度を向上させること」です。並列処理は、複数のCPUコアや複数の計算ユニットを用いて、一つの大きな処理を細かく分割し、同時並行で実行することで、全体としての処理時間を短縮する技術です。科学技術計算やデータ解析のように、同種の計算を大量に繰り返す処理で威力を発揮します。

選択肢1の「処理を一元管理すること」は、処理を中央に集めて管理する集中処理方式の目的です。選択肢3の「処理を複数のコンピュータに分散して行うこと」は、複数のコンピュータに役割を分ける分散処理の説明であり、並列処理とは焦点が異なります。並列処理は、一台の高性能コンピュータ内でも実現されることが多い点に注意が必要です。

【解説】

正解: 3 科学技術計算

この問題は、並列処理がどのような分野で特に有効かを具体的な例を通じて理解しているかを確認するものです。特に、「同じような計算を大量に繰り返す分野」をイメージできているかがポイントです。

正解は3の「科学技術計算」です。気象シミュレーション、分子動力学計算、流体解析、機械学習の大規模学習などは、膨大な計算を高速に処理する必要があり、同種の計算を多数のデータに対して繰り返す性質があります。このような処理は、タスクを細かく分割して複数のプロセッサで同時に計算する並列処理と非常に相性が良く、処理時間の大幅な短縮が期待できます。

選択肢1の「一元的に管理される事務処理システム」は、伝票処理や基幹業務など、並列化の余地が限定的なケースも多く、まずは整合性や業務フローの一貫性が重視されることが多い分野です。選択肢2の「単一のデータベース管理」も、トランザクションの整合性や一貫性が重要であり、むやみに並列化するとロック競合などで逆に性能が落ちることもあるため、並列処理が「特に有効」とは言いにくい分野です。

【解説】

正解: 1 並列化できない処理では効果が得られない

この問題は、並列処理の限界や課題を理解しているかを確認するものです。特に、「どの処理でも並列化すれば速くなるわけではない」という点を押さえられているかがポイントです。

正解は1の「並列化できない処理では効果が得られない」です。並列処理は、処理を複数の部分に分割し、それぞれを同時に実行することで全体の時間を短縮します。しかし、処理の性質によっては前の結果が出ないと次に進めないような「順番が重要な処理」も多く、そのような処理は並列化が難しく、たとえ多くのプロセッサを用意しても性能向上が限定的になります。この考え方はアムダールの法則としても知られています。

選択肢2の「中央コンピュータに負荷が集中する」は、集中処理方式で問題となる点であり、並列処理の課題とは直接関係しません。選択肢3の「システム全体のスケーラビリティが低下する」は、むしろ並列処理や分散処理を活用することでスケーラビリティを高めようとする場面が多く、一般的な課題としては適切ではありません。

【解説】

正解: 2 データやリソースを複製して可用性を高める

この問題は、レプリケーションという技術の目的を理解しているかを確認するものです。特に、「なぜデータを複製するのか」「複製することで何が良くなるのか」をイメージできているかがポイントです。

正解は2の「データやリソースを複製して可用性を高める」です。レプリケーションでは、同じデータやサービスを複数のサーバーやストレージに複製しておき、一部のサーバーが故障しても別のサーバーから同じデータやサービスを提供できるようにします。これにより、システム全体としての可用性や耐障害性が向上し、利用者から見て「止まりにくいシステム」を実現できます。

選択肢1の「システムの可用性を低下させる」は、レプリケーションの目的とは正反対の内容です。適切に設計されたレプリケーションは、むしろ可用性を高めるために利用されます。選択肢3の「中央集権的に管理する」は、処理やデータを中央に集める集中処理方式の考え方であり、複製を用いて冗長化するレプリケーションの説明としては不適切です。

【解説】

正解: 1 データの同期や一貫性の維持

この問題は、レプリケーションを利用する際の「メリットだけでなく課題も理解しているか」を確認するものです。特に、複数のコピーを持つことによる整合性の問題に気付けているかがポイントです。

正解は1の「データの同期や一貫性の維持」です。レプリケーションでは、同じデータが複数箇所に存在するため、どこか一か所で更新が行われた場合に、他の複製に対しても確実かつ適切なタイミングで反映する必要があります。更新順序のずれや障害発生時の遅延などにより、データの不整合が生じるおそれがあるため、同期や一貫性をどう確保するかが大きな課題となります。

選択肢2の「中央コンピュータの負荷集中」は、中央に処理を集約する集中処理方式で問題になりやすい点であり、複製を分散するレプリケーションの課題とは異なります。選択肢3の「処理の並列化」は、並列処理の狙いや特徴に関する内容であり、レプリケーションの主な課題として挙げるのは適切ではありません。

【解説】

正解: 3 ミッションクリティカルなデータベースシステム

この問題は、レプリケーションがどのようなシステムで特に効果を発揮するかを理解しているかを確認するものです。特に、「止まると困る重要なデータを扱うシステム」とレプリケーションの関係をイメージできているかがポイントです。

正解は3の「ミッションクリティカルなデータベースシステム」です。ミッションクリティカルな業務では、データベースが停止すると業務そのものが止まり、取引の中断やサービス停止など大きな影響が出ます。このような環境でレプリケーションを利用すると、プライマリのデータベースに障害が発生しても、レプリカに切り替えて運用を継続できるため、可用性と信頼性を高めることができます。

選択肢1の「一元的な処理が求められるオフィスシステム」は、規模や重要度によっては単一サーバー構成でも十分な場合があり、レプリケーションを必ずしも必要としないケースも多くなります。選択肢2の「単一のデータ処理システム」は、複製を前提としない構成を指しており、レプリケーションの利点である冗長性や可用性向上が発揮されにくいシステムです。