【ITパスポート練習問題 6.3対応】28.サービスマネジメント

【解説】

正解: 2 顧客満足度とサービス提供の品質を向上させること

この問題は、サービスマネジメントという考え方が、単なるITの運用管理ではなく「何をゴールとしているのか」を理解しているかを確認するものです。技術的な視点だけでなく、顧客がどう感じるか、どのような価値を得るかに視点を向けられているかが問われています。

正解は2の「顧客満足度とサービス提供の品質を向上させること」です。サービスマネジメントでは、サービスの設計、提供、監視、改善といった一連のプロセスを整え、安定した品質でサービスを提供し続けることを目指します。その結果として、顧客が安心してサービスを利用できる状態を維持し、満足度を高めることにつながります。

選択肢1の「ITシステムのハードウェア性能を最大化すること」は、サーバやネットワークなどの技術要素に焦点を当てており、サービスとしての価値や顧客視点が含まれていません。選択肢3の「社内のネットワーク構成を最適化すること」も、インフラ設計の話であり、あくまでサービス提供を支える手段の一部にすぎず、サービスマネジメントの最終目的とは言えないため不適切です。

【解説】

正解: 3 ITIL

この問題は、サービスマネジメントの分野で用いられる代表的なフレームワークを知っているかを確認するものです。ITガバナンスやプロジェクト管理など、近い領域のフレームワークと区別できているかがポイントです。

正解は3の「ITIL」です。ITILは、ITサービスマネジメントのベストプラクティスを体系化したフレームワークであり、サービスの設計、移行、運用、改善に関するプロセスや役割を整理しています。組織が安定した品質のITサービスを継続的に提供するための、標準的な考え方や手順を示しています。

選択肢1の「COBIT」は、主にITガバナンスや内部統制に焦点を当てたフレームワークであり、経営目標とITの整合性や統制を重視します。選択肢2の「PMBOK」は、プロジェクトマネジメントの知識体系であり、スケジュール管理やコスト管理など「プロジェクト」という一時的な取り組みを管理するための枠組みです。いずれもサービスマネジメントそのものを中心に扱うフレームワークではないため、不適切です。

【解説】

正解: 2 システム開発期間の短縮

この問題は、サービスマネジメントを導入・実践することで期待される「効果」がどのようなものかを理解しているかを確認するものです。サービス提供の場面で得られるメリットと、別領域の成果を区別できているかが問われています。

正解は2の「システム開発期間の短縮」です。システム開発期間の短縮は、主にプロジェクト管理や開発プロセス改善の結果として期待される効果であり、サービスマネジメントの直接的な効果とは言えません。サービスマネジメントは、運用段階におけるサービス品質や顧客満足の向上を主なターゲットとしています。

選択肢1の「サービス提供のコスト削減」は、標準化やプロセスの効率化により、無駄な作業やトラブル対応を減らすことで得られうる効果であり、サービスマネジメントの狙いに合致しています。選択肢3の「顧客満足度の向上」も、安定したサービス提供や品質向上を通じて実現を目指す典型的な効果であり、サービスマネジメントの目的に沿っているため、誤りではありません。

【解説】

正解: 1 顧客が得る価値や支援に関する活動全般

この問題は、ITサービスにおける「サービス」という言葉が何を指しているのか、その概念を正しく理解しているかを確認するものです。単なる製品や技術ではなく、顧客が得る価値に目を向けられているかがポイントです。

正解は1の「顧客が得る価値や支援に関する活動全般」です。ITサービスは、システムやツールそのものではなく、それを通じて顧客の業務が楽になる、問題が解決する、といった「価値提供」を含めた一連の活動を指します。運用サポート、問い合わせ対応、設定変更などの支援もサービスの一部です。

選択肢2の「物理的なハードウェアの提供のみ」は、サーバや端末といった物理的な製品の提供に限定した捉え方であり、運用やサポートを含むサービス全体を表現できていません。選択肢3の「ソフトウェア開発の工程のみ」は、開発プロセスに焦点を当てていますが、開発後の運用・サポートや、顧客が実際に利用して価値を得る段階を含んでいないため、「サービス」の意味としては不十分です。

【解説】

正解: 2 顧客ニーズに基づく価値の提供

この問題は、ITサービスを提供する際に何を最も重視すべきか、サービスの本質的な要素を理解しているかを確認するものです。技術的要素と顧客価値のどちらを中心に考えるべきかが問われています。

正解は2の「顧客ニーズに基づく価値の提供」です。ITサービス提供では、顧客が何に困っており、どのような成果を求めているかを踏まえて、その課題解決や目標達成に役立つ価値を届けることが重要です。同じシステムであっても、顧客の業務や状況によって必要とされる支援内容は変わるため、ニーズを起点にサービスを設計・提供することが求められます。

選択肢1の「物理的なサーバーの配置」は、インフラ構成に関する技術的な要素であり、サービスを支える手段の一つにすぎません。選択肢3の「システムアップグレードの頻度」も、運用上の手段の一つで、頻度だけを重視しても顧客にとって必ずしも価値が高いとは限りません。いずれも「顧客価値の提供」というサービスの本質を直接表していないため、不適切です。

【解説】

正解: 3 製品の生産コスト削減

この問題は、「サービス提供の目的」が何であるかを理解しているか、また製品の生産活動とサービス提供活動の違いを区別できているかを確認するものです。サービスの視点から目的を捉えられているかがポイントです。

正解は3の「製品の生産コスト削減」です。生産コストの削減は、製造業における製品生産プロセスの改善目標としては重要ですが、サービス提供そのものの目的とは直接結び付きません。サービスマネジメントでは、サービスの品質や効率、顧客満足といった観点が主な目的になります。

選択肢1の「顧客に対する価値の最大化」は、サービス提供の根本目的と一致しています。顧客が得るメリットや成果を最大化することが、サービスを設計・改善する際の重要な指針となります。選択肢2の「サービス提供のプロセス効率化」も、無駄を減らし、安定してサービスを提供するために必要な目的であり、結果として品質向上やコスト削減にもつながるため、サービス提供の目的として適切です。

【解説】

正解: 1 ITサービスマネジメントのベストプラクティス

この問題は、ITILがどのような内容を扱うフレームワークなのかを理解しているかを確認するものです。開発手法や機器設定などの技術的なガイドラインと混同していないかが問われています。

正解は1の「ITサービスマネジメントのベストプラクティス」です。ITILは、サービスのライフサイクル全体を通じて、どのように設計し、移行し、運用し、継続的に改善していくかという観点から、実務で有効とされるプロセスや役割、文書化の仕方などをまとめた枠組みです。多くの組織で参照される標準的なガイドとして位置付けられます。

選択肢2の「ソフトウェア開発の手法」は、ウォーターフォールやアジャイルといった開発プロセスに関する話であり、ITILの中心テーマではありません。選択肢3の「ネットワーク機器の設定方法」は、個別機器の設定手順や技術仕様に関する内容であり、サービスマネジメント全体を扱うフレームワークとは性質が異なります。

【解説】

正解: 2 マーケティング計画

この問題は、ITILが定義するプロセスの範囲を理解しているかを確認するものです。サービスのライフサイクルに関わるプロセスと、それ以外の業務プロセスを区別できているかがポイントです。

正解は2の「マーケティング計画」です。マーケティング計画は、顧客獲得や市場分析、プロモーション戦略などを扱う業務であり、ITILが対象とするITサービスマネジメントのプロセス群には含まれません。ITILの範囲外の活動となるため、不該当の選択肢として正解となります。

選択肢1の「サービス設計」は、ITILのサービスライフサイクルの一部であり、新しいサービスや変更されたサービスをどのような要件・設計で提供するかを検討する重要なプロセスです。選択肢3の「継続的サービス改善」も、サービス提供状況を定期的に評価し、改善策を講じていくためのプロセスとしてITILに明確に含まれています。これらはITILの中心的なプロセスであるため、誤りとなります。

【解説】

正解: 1 サービス提供の一貫性と改善

この問題は、ITILを採用することで組織がどのような効果を期待できるのかを理解しているかを確認するものです。個人の技術習得や製品開発スピードといったテーマと区別できているかが問われています。

正解は1の「サービス提供の一貫性と改善」です。ITILを導入すると、サービスマネジメントのプロセスが標準化され、担当者が変わっても一定水準のやり方でサービスが提供されるようになります。また、定期的なレビューや指標管理を通じて、サービスを継続的に改善していく仕組みを構築できるため、品質の安定と向上につながります。

選択肢2の「プログラミングスキルの向上」は、個々の技術者のスキルアップに関する話であり、ITILの導入効果として直接期待されるものではありません。選択肢3の「新製品開発のスピードアップ」も、製品開発プロセスやプロジェクト管理の改善に関するテーマであり、サービスマネジメントのフレームワークであるITILの主な効果とは異なります。

【解説】

正解: 3 顧客の予算策定方針

この問題は、SLA（サービスレベルアグリーメント）にどのような内容が定義されるのかを理解しているかを確認するものです。サービス品質に関する取り決めと、顧客内部の方針を区別できているかがポイントです。

正解は3の「顧客の予算策定方針」です。予算策定方針は、顧客企業内部の経営や財務に関するルールであり、サービス提供者との間で取り決めるサービスレベルの内容とは別物です。そのため、SLAで定義される内容としては不適切です。

選択肢1の「サービスの可用性」は、サービスがどの程度の時間利用可能であるかを示す指標であり、「月間稼働率99.9％」といった形でSLAに明記される典型的な項目です。選択肢2の「応答時間」も、問い合わせに対する初動対応時間や処理時間など、サービス品質を示す重要なパラメータであり、SLAで合意される内容として適切です。

【解説】

正解: 2 サービス品質の基準を明確にすること

この問題は、SLAを導入する目的が何であるかを理解しているかを確認するものです。契約を通じて何を明らかにし、何を防ぎたいのかという観点が問われています。

正解は2の「サービス品質の基準を明確にすること」です。SLAでは、稼働率や応答時間、復旧時間など、サービスに関する具体的な基準を数値として定め、顧客とサービス提供者の双方が同じ期待値を共有できるようにします。これにより、「思っていたより遅い」「十分に使えない」といった認識のズレを減らし、トラブルを防ぐことができます。

一方で、選択肢1や3に相当するようなシステム開発や技術導入の促進は、SLAの直接の目的ではありません。SLAを通じてサービス品質が明確になれば、その達成のために開発や技術導入が必要になることはありますが、それらはあくまで手段であり、SLA導入の主目的とは異なります。

【解説】

正解: 1 サービスの稼働率

この問題は、SLAで具体的にどのような項目が設定されるかを理解しているかを確認するものです。サービス品質に関する指標と、企業運営上の目標や条件を区別できているかがポイントです。

正解は1の「サービスの稼働率」です。稼働率は、サービスがどれだけの時間、利用可能な状態にあるかを示す代表的な指標であり、「月間99.9％以上」のように数値目標としてSLAに明記されます。これはサービス品質を客観的に評価するための重要な項目です。

選択肢2の「企業の売上目標」は、企業全体の業績に関する指標であり、サービス提供の契約条件として定める内容ではありません。選択肢3の「社員の勤務時間」も、労務管理上のルールであり、顧客との間で取り決めるサービスレベルの指標とは異なるため、SLAで設定される一般的な項目とは言えません。

【解説】

正解: 2 サービス品質に関する具体的な数値目標

この問題は、SLO（サービスレベル目標）が何を定義するものなのかを理解しているかを確認するものです。SLAやSLIとの違いを整理できているかがポイントです。

正解は2の「サービス品質に関する具体的な数値目標」です。SLOは、サービスの稼働率や応答時間、エラー率などについて、「どの程度の水準を目指すのか」を数値で表現した目標です。例えば、「月間稼働率99.9％以上」「95パーセンタイル応答時間200ミリ秒以下」などが典型的なSLOの例です。

選択肢1の「サービス提供者の内部手続き」は、業務フローや承認プロセスなどのルールを指しており、サービス品質の目標値そのものではありません。選択肢3の「新製品のリリース計画」は、プロジェクトや製品ロードマップに関する内容であり、サービス品質の数値目標を定義するSLOとは性質が異なります。

【解説】

正解: 3 ソフトウェア開発プロセスの詳細設計

この問題は、SLOが有効に機能する場面と、そうでない場面を区別できるかを確認するものです。SLOが「サービス品質の目標値」に関するものであることを理解しているかが問われています。

正解は3の「ソフトウェア開発プロセスの詳細設計」です。開発プロセスの詳細設計は、どのような手順や体制でソフトウェアを作るかを決める活動であり、サービスの稼働率や応答時間といった品質指標の目標値を設定するSLOの適用範囲とは異なります。そのため、SLOの設定が直接有効となる場面とは言えません。

選択肢1の「サービス稼働率の目標設定」は、SLOの典型的な用途です。どの程度の稼働率を維持するかという目標を数値で決めることは、まさにSLOの役割です。選択肢2の「応答時間の基準決定」も、サービス品質の目標値を決める行為であり、SLOを用いて行うのが適切です。これらはSLOを活用する代表的な場面であるため、不適切な選択肢とはなりません。

【解説】

正解: 2 目標値達成のためのモニタリングと改善活動

この問題は、設定したSLOを実務の中で生かすために、どのような取り組みが必要かを理解しているかを確認するものです。単に目標を決めるだけでなく、その達成状況を追いかける視点を持てているかがポイントです。

正解は2の「目標値達成のためのモニタリングと改善活動」です。SLOを運用するには、実際の稼働率や応答時間、エラー率などを継続的に計測し、SLOと比較して達成状況を確認する必要があります。達成できていない場合には、原因分析や対策検討を行い、サービスやシステムの改善につなげることが重要です。

選択肢1の「サービス提供者の評価システムの導入」は、人事評価やパフォーマンス評価の仕組みに関する話であり、SLOの運用そのものを説明するものではありません。選択肢3の「顧客の予算設定の見直し」は、顧客側の財務計画に関する活動であり、サービス品質の目標値を運用・改善するというSLOの観点からは外れています。

【解説】

正解: 3 ユーザーの使いやすさに関する主観的評価

この問題は、SLI（サービスレベル指標）がどのような内容を測定するものなのかを理解しているかを確認するものです。数値化できる指標と、主観的な評価を区別できているかがポイントです。

正解は3の「ユーザーの使いやすさに関する主観的評価」です。使いやすさに関する感想や印象は、アンケートなどで把握することはできますが、SLIが扱う「定量的な測定値」とは異なります。主観的評価は大切な情報ではあるものの、SLIの典型的な対象とは言えません。

選択肢1の「サービスの稼働率」は、サービスがどれだけ利用可能であったかをパーセンテージで表す、典型的なSLIです。選択肢2の「エラー発生率」も、一定期間におけるエラー件数やエラー比率を数値で示すものであり、サービス品質を定量的に評価する指標としてSLIに含まれます。これらはSLIが測定する内容として適切です。

【解説】

正解: 1 サービス品質の数値化と評価

この問題は、SLIを利用する主な目的が何であるかを理解しているかを確認するものです。指標が果たす役割と、営業や料金設定など他の活動との違いを区別できているかが問われています。

正解は1の「サービス品質の数値化と評価」です。SLIは、稼働率、応答時間、エラー率などを具体的な数値として測定し、サービス品質の現状を定量的に把握するために用いられます。この数値をもとに、SLOの達成状況を確認したり、改善の必要性を判断したりします。

選択肢2の「顧客の新規サービスの提案」は、営業や企画の活動に関する内容であり、SLIの直接の目的ではありません。選択肢3の「サービス料金の決定」も、料金設定に際してSLIの情報を参考にすることはあり得ますが、SLIそのものの主目的は料金決定ではなく、あくまでサービス品質の状態を測ることです。

【解説】

正解: 2 サービスの応答時間

この問題は、SLIの具体例としてどのような指標が適切かを理解しているかを確認するものです。サービス品質に直接関係する数値指標と、組織や人に関する指標を区別できているかがポイントです。

正解は2の「サービスの応答時間」です。応答時間は、ユーザーがリクエストしてから結果が返ってくるまでに要する時間を数値で表したものであり、サービスの体感速度や使い勝手に直結する重要な品質指標です。稼働率などと並んで、SLIとしてよく用いられる具体例です。

選択肢1の「開発チームの技術スキル」は、メンバーの能力に関する情報であり、サービスの状態を示す定量的な品質指標ではありません。選択肢3の「社員の満足度」も、組織や働き方に関する指標であり、ITサービスの稼働状況や性能を示すSLIの具体例とは言えないため、不適切です。